細胞性食品(培養肉)の細胞培養技術を活用しスキンケア化粧品の新しい切り口を提案、インテグリカルチャーの化粧品OEM
将来の「タンパク源不足」を背景に注目される、動物の細胞を培養することで肉をつくり出す 「汎用大規模細胞培養技術」 を持つインテグリカルチャー株式会社。 その研究過程から、画期的なスキンケア原料を発見しました。
それが、タマゴ由来の「細胞培養上清液」 である独自の化粧品原料 「CELLAMENT®(以下、セラメント) 」 です。 「セラメント」 とはどのようなものか。
今注目度の高いエイジングケアの分野で、 「セラメント」 が可能にする化粧品OEM、 成功の秘訣などを取材しました。
細胞性食品研究の過程で発見した副産物に、化粧品原料として有用な成分を発見したインテグリカルチャー
インテグリカルチャーはもともと、 持続可能な農業を目指し、環境負荷などの社会課題を解決するために 「細胞農業」のプラットフォーム構築を目指している会社。独自開発の細胞培養技術”CulNet®(カルネット) システム(特許取得済*1) “を活かし、細胞性食品などを低コストで生産できる仕組みを構築しています。
カルネット システムは、動物体内を模した環境を再現することが可能で、細胞培養を高コストにしていた血清成分(牛胎児血清や成長因子など)が不要に。これにより、大幅なコストダウンと大量生産を可能にした、というわけです。
カルネット システムを用いていくつかの細胞を培養する過程で、肌に有用な成分が生み出されていることを発見。 タマゴの胎盤様組織にある3種類の細胞 (3mix細胞*2) の培養上清液を、新しい化粧品原料「セラメント」として開発し、製品化しました。
セラメントは、PCPC (Personal Care Products Council: 米国パーソナルケア製品評議会) で新規化粧品原料として世界で初めて登録されました。
*1)特許第6111510号
*2)3mix細胞とは、鶏卵の胚膜 (胎盤に相当する部分) にある3つの細胞 「羊膜(ようまく)、 卵黄嚢(らんおうのう)、漿尿膜(しょうにょうまく、漿膜と尿膜をまとめたもの)。これらを一緒に培養したものから細胞を除いた上澄み液がタマゴ由来胎盤様組織の「培養上清液」です。
「細胞培養上清液」とは?肌自身が持つ、美しくなる力を引き出すと注目される化粧品原料
「細胞培養上清液」とは動物の体内に存在する幹細胞などを培養液の中で培養し、細胞を取り出した後、滅菌処理などを行った上澄み液のこと。 再生医療の研究から生まれた副産物で、かつては医療廃棄物として処分されてきました。
しかし、その「細胞培養上清液」には、培養の際に放出されたサイトカインやエクソソーム、その他、500種類以上もの成長因子や生理活性物質(ビタミンや補酵素、ホルモン、神経伝達物質など生体機能の調整に関与するもの)が 多く含まれており、肌への美容効果が期待できると一躍話題になりました。
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かつてのスキンケアは肌に足りないもの (うるおいなど)を補う、逃がさないように保護するという観点で開発されたものがほとんど。一方で、この「細胞培養上清液」を活用することで、肌自らが持つ力を引き出し、健やかさや美しさを保つという“攻めのスキンケア”が可能になると期待されています。
インテグリカルチャーの細胞培養上清液「セラメント」は、タマゴからひよこに孵るためのエネルギーを秘めた化粧品原料
タマゴは完全栄養食ともいわれ、人が体内で作り出すことができない必須アミノ酸をすべて含んでいます。ひよこに孵るために必要な3つの細胞 「羊膜(ようまく)」「卵黄嚢 (らんおうのう)」「漿尿膜 (しょうにょうまく)」、つまり鶏胚膜(胎盤に相当する部分)を採取して培養。
豊富な成長因子を含んだ細胞上清液をつくることができました。 セラメントには約678種類ものタンパク質が含まれ、そのうち、217因子が細胞にシグナルを送る機能を持っているといわれています。
肌の細胞はそのシグナルを受け取り、自らが持つうるおいを作る力、ダメージから回復・守る力をスムーズに発揮できるようになるのではないかと期待されている、というわけです。
インテグリカルチャーの「セラメント」は、サステナブルな原料でもある
セラメントは、インテグリカルチャーが手がける細胞農業(セルアグ)を軸に細胞性食品を研究する中で誕生した独自成分です。この成分は、肌に有益であるのはもちろんのこと、タマゴ1個から約3kgのセラメントをつくることができ、原料生産に必要なエネルギーの削減も可能。
まさにサステナブル (持続可能な)原料となっています。SDGsへの意識が浸透しつつある現代。
スキンケアとしての機能性はもちろんのこと、環境への負荷を低減すること、コストを抑えてストーリー性のあるコスメを開発できるのは画期的なことといえるでしょう。
「セラメント」が秘めている、若返りへの期待
現在も研究過程にあり、「セラメント」が化粧品機能性原料としてのさらなる有用性を秘めていることがわかってきました。「セラメント」 を肌に塗布することで新生児の肌の状態に近づける可能性があります。
ご存じの通り、赤ちゃんの肌は大変みずみずしく、ふっくらとしています。年齢を重ねるほどに、うるおいを作り出す力が衰え、紫外線などによるダメージから回復する力が失われていきます。
そんな大人肌が生まれたての赤ちゃんのような肌に近づくことができれば、エイジングケアの概念そのものを変えてしまうような画期的な商品になることでしょう。今後の研究成果が待たれますね。
【ニュースリリースのリンク】セラメントの研究成果についてはこちらを参考に≫
インテグリカルチャーでどんなOEMが可能なのか?注意点は?
このセラメントを活用してどのような化粧品OEMが叶うのでしょうか。 セラメントのOEMに携わる方にお話をうかがいました。
「化粧水や乳液、美容液、クリーム、ジェル、フェイスマスクなど基本的なスキンケア製品はもちろん、シャンプー・トリートメントなどのヘアケア製品への応用が可能です。特に得意なのはやはり基礎化粧品」とのこと。
高い保湿効果が求められる目元や口元のお手入れなどにもおすすめだそうです。
セラメントは1~30%の間で配合することが重要とのこと。アイテムの種類や他の成分とのバランスなどを考えつつ、決めていくことになります。
効果を実感していただくための配合量、アイテムの種類や他の成分とのバランスなどを考えつつ、決めていくことになります。
OEMを依頼する場合、どのぐらいの費用・ロット数を考えておけばいいのでしょうか。
「最小1,000 ロット、開発費用は最低150万円~と考えていただければいいと思います。」
依頼する場合、どのようなことに注意したらよいでしょうか。
「最先端の技術や目新しい美容成分を求めている方に、 大変好評をいただいています。
まずは、セラメントを軸にしてどのような商品コンセプト (どんなターゲット層にどんなお手入れを提案したいなど)にするのか、製造したいアイテム、使い勝手、テクスチャー、セラメント以外で配合したい成分などなど。
化粧品を使用する場面やライフスタイルによって、どのようなプロダクトに仕上げるかが変わってくるかと思います。
セラメントを使った化粧品で、どんな人がどんな目的でお手入れするのかしっかりと落とし込んで企画していくことが重要です。」
失敗しやすいのがよく知られている (認知度の高い) 美容成分をあれもこれも使って、オールマイティな化粧品、いろんなターゲットに訴求できるというようなアイテムをつくること。
欲張らずにターゲットや目的にフォーカスすることが成功のカギ。 インテグリカルチャーにOEMを依頼する場合は、独自成分であるセラメントという成分が持つ特質を活かして企画することをおすすめしますとのことでした。
商品の企画・開発・製造までどのぐらいの期間をみておくといいでしょうか。
「コンセプトにより異なるため、一概にはいえませんが、処方が決まって製造までは約3カ月ぐらい。商品の企画から処方、試作品を作る期間は6カ月~1年かかる場合もあります。
お客様のこだわりによってということになります」とのことでした。
化粧品OEMをお願いする場合、打ち合わせはオンライン・対面でもOK。関東近郊であれば訪問してプロジェクトを進めていくことは可能だそうです。
クリニックやエステサロンなど高付加価値をつけたコスメを企画したいという企業などから、好評だとのこと。お手入れの実感が求められる、プロフェッショナルな現場で今後ますます活用されそうですね。
- インテグリカルチャーで依頼できる化粧品OEMは、独自原料「セラメント」を使用したもの
- スキンケアやヘアケア製品の企画・製造が可能
- 最小1,000ロット、最低予算150万円から(アイテムにより異なる)開発可能
- ブランドイメージやお手入れの狙い、目的をはっきりさせてターゲットを絞った商品企画を考える
これまでのスキンケアと違うアプローチを求めている方に、インテグリカルチャーのOEMがおすすめ
肌によい成分をあれもこれもたくさん配合しました、という“補う”美容とは一線を画した“攻め”のスキンケアを叶えるインテグリカルチャーの「セラメント」。まださらなる可能性を秘めた成分であるだけに魅力的です。
一般的に「細胞培養上清液」を使用したコスメは高いものですが、コストを抑えて開発ができるというのも見逃せないポイント。ぜひ、検討してみてはいかがでしょうか。
■取材協力
インテグリカルチャー株式会社