化粧品OEMで海外に販路拡大!越境ECの現状と成功させるカギは?【市場トレンドリサーチ(8)】

化粧品OEMで海外に販路拡大!越境ECの現状と成功させるカギは?【市場トレンドリサーチ(8)】

コロナ前には海外から大勢の観光客が訪れていた日本。特に中国からのインバウンド客がたくさんの化粧品を購入していた姿は印象に残っています。

「Made in Japna(日本製)」というだけで物が売れていた時代は確かにありましたが、現在は中国や韓国の化粧品メーカーが次々と台頭し、日本製というだけのアドバンテージは通用しなくなっています

今回は化粧品OEMを企画・開発して国内で販売するだけではなく、海外市場進出も視野に入れたいという方向けに、越境ECについて徹底解説。D2Cを上手く活用し、より大きな売り上げを上げるためのノウハウや成功事例などを検証してみたいと思います。

新規でOEMビジネスを始めたいと考えている方、OEMについて詳しく知りたい方、ロットや費用の相場感を知りたい方はこちらも参考に。
>>化粧品OEMとは?かかる費用や、OEMメーカーの選び方を徹底解説

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海外を含めたより広いマーケットでビジネスが可能“越境EC”のメリット

中国の独身の日は最大の商機

「越境EC」とは、国境を越えて商品をオンライン上で行う商取引のことをいい、一般的にはECサイトを通じて行っています。日本国内だけを相手にするよりも、販路が格段に広がるため、売上増加を狙えるのが最大のメリットです。

さまざまな業界が越境ECへ参入する中、どのようなところがメリットなのか簡単にまとめました。

越境ECの市場規模は世界的にも拡大している

経済産業省がまとめた調査「日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場希望(2019年2020年)」を見ると、中国ユーザーからの購入は2019年で1兆6,558億円(前年比7.9%増)、2020年で1兆9,499億円(前年比17.8%増)。

米国ユーザーからの購入は2019年で2兆94億円(前年比16.3%増)、2020年で2兆3,119億円(前年比15.1%増)といずれも増加しています。

スマホやタブレットなどインターネット端末が普及し、特にアジアは欧米諸国よりもEC事業のスタートが遅れたことから、今後はアジアを対象とした越境ECの伸び率が伸長するのではという予測もあります。新たな販路開拓として有益な手段といえそうです。

越境ECは新規ビジネススタートとして低コスト・低リスク

現地で実店舗を構えるとなると、固定費がかかる上、広告費、人件費など事業立ち上げにかかるコストは膨大です。

しかし、インターネットを介した商取引なら固定費は抑えることが可能。越境ECに対応したサービスやサポート会社も増えているので、ハードルが下がっているのがメリットですね。

日本人よりもネットショッピングの頻度、購入金額が高い傾向

海外の人は日本人に比べ、ネットショッピングを行う頻度や金額が高いのが特徴。今後も売り上げ拡大が狙えそうです。

また、2019年に英調査会社ユーロモニターインターナショナルが行った、『世界の越境EC市場』に関するデータによると、インバウンド旅行者が購入した日本製品を帰国後もオンラインでリピート購入するケースが多いとあります。

中国人観光客の“爆買い”が印象的でしたが、旅行中に購入した金額よりも、越境ECで購入した金額の方が大きいといわれています。中国以外にもインドネシアやベトナムなど、来日して日本製品の品質の良さに触れ、リピート購入するケースも多いそうです。

化粧品販売を考えている場合、“越境EC”のデメリットは?

越境ECのデメリット

海外のマーケットを相手にする越境EC、ことばの壁や決済方法、商品の配送料などさまざまな注意点が存在します。冒頭でもお伝えしたとおり、日本製であることが有利とは限りません。

楽天やAmazonのような海外ECモールは集客力が高く、運用の手間を軽減できる反面、出店までの手続きの煩雑さや時間がかかるなど、メリットばかりとは言い切れないので注意が必要です。以下、デメリットをまとめてみました。

  • 商品説明や広告文などの翻訳コストがかかる
  • 輸送コストや配送時間がかかる
  • 化粧品の場合、現地の法律で規制されている成分や商品に注意が必要
  • 関税や輸出入禁止品、個人情報の取扱いなど国により対応が異なるので詳しい知識が必要
  • 為替変動リスクがある
  • 現地に合わせたマーケティングや広告戦略が重要
  • トラブルが起きた場合の対応力(商品が届かない、注文品と違うものが届く、破損してる、カードの不正使用など)が必要

例えば、中国の場合はライブコマース(リアルタイムで映像配信しながら販売する手法)が盛んで、視聴者がすぐに質問できるようチャットサービスが必須など国により販売手法が異なります。動画サイトやYouTube、SNSなどを通じたコミュニケーションなど、国ごとに特色があるので、現地の実情に合わせた運用法がカギとなります。

また、異なる文化や宗教、習慣、消費行動をきちんと理解した上で戦略を練らないと失敗する恐れがありますので、ただ物を作ってECモールに出店すれば売れるとはなりませんのでその点も注意が必要です。

越境ECをこれからスタートさせる場合、狙い目の国は?

ライブコマースは中国で大人気の手法

越境ECの市場規模が飛びぬけて大きいのは米国・中国です。しかし、その分ライバルも多く、新規参入にはしっかりとした戦略が必要となります。

今後、越境ECを考えるにあたり、ポテンシャルが高いのは東南アジアの国々。インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシアのEC市場の規模拡大は目を見張るものがあります。

特にインドネシア・マレーシア・シンガポールではEC市場の伸び率が高いのと、シンガポールでは高価格帯の化粧品健康食品への関心が高いことがポイント。

また、ベトナムは経済成長が続いており、コロナ禍前に来日し、中国人同様に爆買いしていた国のひとつ。コロナ禍で渡航が出来なくなり、越境ECを利用して日本製品を購入するケースが多くなっています。

ベトナムは今後、2025年まで150億ドルに達するともいわれ、成長著しいマーケットです。

この他、日本製品への信頼や人気度の高い台湾もねらい目。EC利用者も多いので期待がもてます。

越境ECで化粧品販売、成功事例について

中国で人気のライブコマース。資生堂ではインフルエンサーではなく、ブランド責任者や現地法人の社員が出演し、話題を呼びました。2020年からは国内でもライブコマースを実践し、オンライン上でのカウンセリングなどを導入。

中国でEC商戦が盛り上がる「独身の日」に、日本国内から行ったライブコマースは40万人の視聴者数を獲得するなど大変な盛り上がりを見せたそうです。

この他の成功事例をダイジェストにご紹介していきます。

20~30代の中国女性から絶大な人気「SK-Ⅱ(エスケーツー)」

SK-Ⅱは資生堂同様に中国で人気
(引用元:PRtimes

SK-Ⅱ(エスケーツー)」は1980年に誕生した日本のスキンケアブランドですが、運営はアメリカのP&Gが行っています。化粧品に配合されている酵母発酵時にできる独自成分ピテラがキメを整え、ハリ・ツヤのある透明感のある素肌に整えることで人気があります。

SK-Ⅱは中国本土にも店舗があり、高級化粧品として認知。CMに女性が憧れる男性有名人を起用し、彼が使っている化粧品として大変な話題を呼びました。中国人女性の心理や真のニーズをしっかりつかんだ戦略が成功を収めていることでも有名です。

ECサイトでは単品販売だけではなく、キット化することで販売単価を上げ、収益を伸ばすなど、中国では資生堂とともに抜群の認知度と売上、リピート率を誇っています。

中国最大のECサイトで大人気、ヤーマンの美顔器「Bloom」

ヤーマンの美顔器は中国で大ヒット
(引用元:PRtimes

ヤーマンの美顔器は、中国最大のECサイト「Tmall」美顔器カテゴリ、独身の日の販売実績6年連続1位を獲得。3種類のラジオ波とEMSを搭載したエイジングケア美顔器「Bloom WR STAR」が人気No.1の売上を誇ります。

2020年はWeiboフォロワー数が1487万人超のスーパーKOL薇娅(VIYA)を起用したライブコマース、2021年は「ASIA ANTI-AGING SKINCARE SUMMIT 2021」で発足した専門家委員会の活動を背景にした皮膚科医とのライブ配信を実施。KOLを起用しないメーカー単独ライブとしても、「1億元達成した9ブランド」に美顔器カテゴリからは唯一「雅萌(ヤーマン)旗艦店」がランクインしています。

多言語対応のECサイトやFacebookページなどを活用し、世界51か国への出荷実績がある「ライスフォース」

ライスフォース
(引用元:PRtimes

株式会社アイムが手掛ける薬用化粧品「ライスフォース」は、Facebookを利用してコアなファン獲得に成功。30代~50代女性にターゲットを絞り、日常生活や旅行風景・食べ物など、宣伝臭を配して役立つ情報を定期配信することで親近感・共感を呼び、無名から売り上げを大きく伸ばすブランドとして成長しました。

2021年3月からはアンバサダーとして、タレントの菊川玲さん、河北麻友子さん、藤本美貴さんが就任。Web広告などを展開するなど注目を集めています。

海外への販売は2010年から強化。各国のリゾートホテルやスパのアメニティとして提供している他、現地の化粧品カウンターや越境ECによる販売も行っています。

InstagramではUGC(ユーザー生成コンテンツ、口コミ投稿)を活用。Instagramに投稿した商品の関連画像を、ECサイトの口コミコンテンツとして再掲載し、そこからショッピングページへの導線を設け、売り上げを伸ばしました。

越境ECは多言語対応のECサイトやSNSを有効活用。世界51カ国への出荷実績がある、化粧品ブランドとなっています。

中国のKOLを活用し、欠品を出すなど大ヒットした「フジコポンポンパウダー」

株式会社かならぼのコスメブランドFujikoは、紙のべたつきやペタッとなりがちな髪をサラふわに整えるヘアスタイリング剤。リニューアルして保湿力と消臭力がパワーアップしています。

中国への進出時に、ターゲットを「ライフスタイルの変化に敏感で、かつ時短や便利さに魅力を感じてくれる女性層」に定め、その見込み客に最も発言力のあるKOLを起用。徹底的なサンプリングを行いました。

その後、ターゲットを狙い撃ちした販売チャネルに商品を流通させ、ローンチから半年で欠品がでるほどの爆発的なヒットを記録。その後、特に施策を打たなくてもタイやロサンゼルスでも売り上げを伸ばしたそうです。

中国の消費者からの情報が拡散した結果、グローバル展開が自然にかなった事例といえそうです。

Fujikoではその後、落ちない「フジコ眉ティント」でもヒットを飛ばしています。

世界10か国以上で売り上げを伸ばす「BULK HOMME(バルクオム)」

バルクオムがアメリカ進出
(引用元:PRtimes

メンズスキンケアブランドとして国内でもビッグヒットを達成した株式会社バルクオム。2013年にブランドデビューし、「メンズスキンケアブランド世界シェアNo.1」を掲げ、積極的に海外展開を促進しています。

2016年にはアジア最大美容展示会「Cosmoprof Asia」へ出展。2018年には韓国に現地法人を設立し、越境ECでスタートしつつ、販売許可を取得次第、韓国内での出荷へシフトすることを発表しました。

その後もアメリカやイタリアなど美容展示会に積極的に出展。海外への足掛かりをつかんでいきました。2020年5月にはイギリス・フランスで公式オンラインストアを開店。

2020年9月からはイタリアでの販売を開始し、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンでも順次販売をスタートさせます。そして2021年にアメリカ、中国へと進出しています。

アメリカではバルクオムのブランド認知がされていないということで、Amazonを通じたオンライン販売からスタート。また、「Tokyo Central」ガーデナ店などバラエティショップ約20店舗でも取り扱ってもらうことで、タッチポイントの創出を同時に仕掛けていきました。

ベトナムでの越境ECに強い「プルソワン化粧品」

ベトナム越境ECに強いプルソワン

株式会社プルソワンは自社でオリジナルコスメを展開する他、小ロット(100個から)の化粧品OEMにも対応してくれるメーカー。国内はもとより、台湾・オーストラリア・インドネシア・ベトナムへと次々進出し、2021年にはベトナムで100店舗以上のサロンを展開しています。

オリジナル処方で100個から!プルソワンの化粧品OEMについて取材しました

2021年には日本の商材(美容、健康、雑貨等)をベトナムで販売する「V&J TRADING CONSULTANT」を設立。ベトナム進出を果たしたい企業をサポートし、スピーディでリーズナブルなサービスを展開して好評です。

ベトナムに自社サロン「POURSOINVietnam」やオフラインショップ「Co2ストア」を持っているため、テストマーケティング、EC販売と開始まで約1週間と大変スピーディに行えるため、ベトナムでの商品ライセンス取得までの検証がスムーズに行えるのも強み。

現地でのマーケティングや集客、販売網、物流などすべてに精通しているので、安心してお任せできます。

ベトナムは成長著しい反面、コスメやサプリメントが未開拓な部分が多いのでまだまだチャンスはあります。今後、中国に次ぐ巨大市場になると期待されてるので、ねらい目といえそうです。

越境ECで出店する方法は大きく分けて2種類

越境ECの出店方法

越境ECは国内のEC出店と同じで、自社でECサイトを構築するか、モールに出店するかの2種類です。それぞれの特徴とメリット・デメリットをまとめてみました。

自社サイトを構築し、越境ECを行うメリット・デメリット

自社サイトを構築し、自社運営を行うのは最も難易度が高い方法です。多言語化やカスタマーサポート、海外への発送手続き、決済まですべて自社で行わなければなりません。

その反面、ブランディングのコントロールが可能で、サイト運営も自分たちの自由に設計できるというメリットがあります。また、ECモールへ支払う手数料がないので、長期的にはコストをかけずに運営が可能です。

デメリットとしては単独運営のため、集客や広告宣伝コストがかかること、決済システムを各国の消費者ニーズに合わせたものを用意する必要があります。

もう少しハードルを下げる場合は、自社サイトを構築し、購入代行サービス業者を活用する方法です。この場合ならブランドイメージはそのままに、多言語化やカスタマーサービス対応、決済、発送などの煩雑な運営を巻き取ってもらえるのでスムーズな越境EC参入が可能です。

購入代行サービスを利用する場合のデメリットとしては、集客やマーケティング施策は独自に必要になるため、ある程度ブランド認知が高く、世界各国でニーズの高い商品を販売するのに向いている方法です。

自社サイトでの越境ECを運営するのに向いているケース

  • ブランド認知度が高く、ブランドの世界観やイメージ訴求が売り上げを左右する場合
  • すでに海外での販売実績があり、売上や利益率をあげたい
  • 各国の事情に通じた専門家がおり、万が一のトラブルへの対応力を持っている
  • 集客やマーケティング施策に自信があり、すでに成功パターンを持っている

モールに出店して、越境ECを行うメリット・デメリット

初めての越境ECの場合、自社の商品が売れるのかどうかテストしたい場合に最も手軽なのが海外モールに出店することです。この場合、海外モールに出店しつつも、カスタマーサポートや発送などは自社運営で行うケースと、運営代行サービスも併せて利用することも可能です。

コストを下げたいなら自社運営、初めての越境ECで参入ハードルを下げたい場合は運営代行サービスを選択するのがよいでしょう。

海外モールに出店するメリットは、すでに集客されており、自社でシステムを構築する必要がないこと。運営代行サービスと合わせて利用すれば、自分たちがターゲットとしている国、ユーザーの動向などもつかみやすいため、テスト販売がスムーズです。

デメリットはモールや運行代行サービス業者への手数料がかかること、自社への集客が難しい、運用に手間や時間がかかることです。運行代行サービス業者を利用しない場合は、カスタマーサポートや発送でのトラブル対応が必要になります。

海外モールでの越境ECを運営するのに向いているケース

  • 初めての越境ECで商品の反響をみながら本格的に参入したい場合
  • 物流や発送、関税など、各国の事情にあまり明るくない
  • 集客やマーケティング施策などの専門知識がない

すでに商品に対するファンづくりやコミュニティが構築されている場合でも、まずは海外での反応を見て、好調であれば自社サイトや自社運営へと移行するのがおすすめ。前述したプルソワンのように、現地法人を持ち、参入前にテストマーケティングを行える企業と二人三脚で慎重に進めていくのもいいですね。

化粧品OEMで越境ECを成功させるポイントまとめ

越境ECときくと、中国・アメリカを思い浮かべるかもしれませんが、今後のマーケット拡大を考えると東南アジアの国々は無視できないポテンシャルを持っています。富裕層の多さではインドも無視できません。

インドネシアやマレーシアなどイスラム教徒が多いエリアでは、ハラール認証を取得しているというのもポイントのひとつ。化粧品業界全体のトレンドとしてエシカル消費やSDGSも無視できません。

ムスリム向けコスメ開発に有効なハラール認証制度について解説!対応可能な化粧品OEMメーカー5選

また、男性化粧品市場やジェンダーフリー化粧品市場も拡大していることを考えると、魅力的な化粧品をOEMで開発し、海外市場も視野に入れた展開というのもぜひ検討したいもの。

越境ECも視野にいれた化粧品開発をするなら、海外進出に強いメーカーを選ぶというのが重要といえそうですね。

新規で化粧品業界参入を考えているならOEMメーカーを活用しよう

OEMプロにお任せください

小資本でも参入しやすいD2Cビジネス。SNSやライブコマースなどさまざまな手法を使えば、海外進出も夢ではなくなってきました。

商品の企画をカタチにしてくれる製造のプロであるOEMメーカーの中でも、海外進出に強いところがいろいろありますので、事業計画に合わせて最適なところを見つけるのが重要といえます。

「OEMプロ」なら条件にぴったりの化粧品や美容機器、サプリメントOEMメーカーを無料でご紹介可能です。ぜひお気軽にお問合せください。

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