コールドプロセス製法で丁寧な石けんづくりを続けるやぶうち商会(ララハニー)に取材!地域資源を活かしたコスメ開発も好評
手作り石けんは大人気!自分で手作りしていくうちに、ビジネスとして販売したいと考える方も多いのでは?
しかし、オリジナル石けんを化粧品として販売する場合は、「化粧品製造業許可」や「化粧品製造業販売許可」が必要。その点、OEMメーカーを頼れば、オリジナル石けんを製造・販売するのもスムーズですね。
今回は自然豊かで水資源に恵まれた富山で化粧品OEMを手掛けている株式会社やぶうち商会・化粧品製造事業部の専務取締役である藪内朋子さんにインタビュー。
藪内さんご自身も、1冊の手作り石けんの本に出会い、自ら手作りしてその魅力にハマってしまったことから事業を始めた方の1人です。
今回は環境にも肌にもよい石けんや、ナチュラルコスメをオリジナルで開発する場合のポイントや注意点、やぶうち商会ならではの強みをご紹介します。
「手作り石けんをビジネスとして製造・販売したい」「地元の特産品を活かしたオリジナルコスメを開発したい」という方必見です。
個人的な興味から始まった石けんづくり、その魅力とは?
株式会社やぶうち商会の専務取締役である藪内朋子さん。会社の本業はケミカルな商材を扱う総合商社であり、オリジナルの塗料なども製造しています。
化学薬品などを多く取り扱う中で、ふと化粧品に配合されている成分を見て“どんなものが使われているか”気になったといいます。
『書店で手作り石けんの本を見かけたとき、自分でも化粧品が作れるのだと興味が湧きました。劇物である苛性ソーダも取り扱える環境でしたので、さっそく作ってみたところ、その使い心地の良さに感動しました』と藪内さん。
ヨーロッパなどでは家庭で石けんを作るのはごく普通のことで、自宅のキッチンでコスメが気軽に手作りできるというのも目からうろこだったそう。
しかし、手作り石けんを自分だけで使う分には問題ないですが、法律上友人や知人にプレゼントしたり、販売することはできません。そこで、やぶうち商会で2011年に化粧品事業部を立ち上げ、本格的にオリジナルコスメの開発・製造・販売をスタートさせたというわけです。
薬品や溶剤などの商材とナチュラルなコスメ。ちょっと対極のような気がしますが、化学的な知識や技術などは共通するものがあると藪内さん。「化粧品製造業許可」や「化粧品製造業販売許可」もスムーズに取得でき、現在では要望に応じた化粧品OEM事業も手掛けています。
石けんを自分で手作りする場合の注意点は、こちらの記事も参考になさってください。
手作り石けんに近いコールドプロセス製法を採用している株式会社やぶうち商会
やぶうち商会が手掛ける石けんは、藪内さんが使い心地に感動したというコールドプロセス製法にこだわっています。
『石けんづくりには、熱を加えて反応を速める“ホットプロセス製法”と熱を加えずに常温でゆっくりと反応・熟成させる“コールドプロセス製法”があります。
手作り石けんはコールドプロセス製法で作られているものなので、OEMで再現したいならおすすめです。コールドプロセス製法は、製造過程で油脂が劣化しないこと、保湿成分であるグリセリンを残せることなど、肌にやさしい石けんができるのがメリット。
やぶうち商会では石油化学由来の原料、合成保存料、合成着色料など添加物を使わずに作れるので肌にも環境にも負荷をかけずに、自然の力を活かした使い心地のいいものを製造できますよ』とのことでした。
コールドプロセス製法についてもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考になさってください。
人気の石けんOEMで注意しなければならないポイントは?
石けんの個性を決めるのは、主剤となる油脂に何を使い、どのように配合されるかです。
『オリーブオイルは泡立ちが悪いが保湿力がある、ココナッツオイルは泡立ちが良く洗浄力があるが保湿が弱いなど、油脂そのものの個性があります』と藪内さん。
例えば、人気の高い“マルセイユ石けん”は、地中海特産のオリーブ油を原料にフランスなどで作られてきたもの。かつて短期間でつくろうとして品質の良くない動物油脂などの混ぜ物をしたマルセイユ石けんが出回ったことから、厳しい製品基準が設けられたことでも有名です。
『オリーブオイル100%でつくりたいというリクエストをいただくことがありますが、けん化スピードが大変遅いのが欠点です。通常のオイルなら1か月~2か月程度で完成しますが、オリーブオイルのみで作ると最低でも6か月かかります。
また、オリーブオイル石けんの特性で大変溶けやすいのが難点。そういった油脂の個性を見極めて設計するのが重要です』
また、ナチュラル石けんということで、無添加・無香料を希望する場合も注意が必要。石けんのオイル臭や苛性ソーダなどの原料臭が気になり、使い心地が良くないものになる可能性があります。
『少しでも天然精油を使うなどして、気になる原料臭をマスキングすると使い勝手のよいものができますよ』と藪内さん。
コンセプトやターゲットに合わせたオイルの選定や組合せ、ハーブや精油の組み合わせなどを含め、丁寧にアドバイスしてもらえるので、ぜひ相談してみましょう。
石けんを作れば売れる!?どこでどのように販売するかまでしっかり考えないと失敗しやすい
「手作り石けんが周りから好評だったから、ネット通販すれば売れるのでは?」「地元のお土産ショップやお店に置けば必ず売れるはず」というふうに思っていませんか?
手作り石けんが周りから好評だったから、“作れば売れる”と思いがちです。また石けんは、比較的小ロット・少資本でOEM製造できるため、個人の方でも手を出しやすい商材といえるでしょう。
しかし、世の中には肌や環境にやさしい“石けん”があふれています。
『誰に使ってもらいたいのか、どこで販売するのか、どのようにその存在を知ってもらうのかがはっきりしていないと必ず失敗する』と藪内さん。中にはOEMで石けんを製造したのに、まだパッケージを考えていないという方もいらっしゃったとか・・・。
せっかく費用や時間をかけてオリジナル石けんやコスメをOEMで開発するなら、以下のポイントをしっかり準備して依頼しましょう。
- 商品コンセプトを明確に(誰にどのように使ってもらい、何を狙うのか)
- 商品の販売ルート・価格・ターゲットをしっかり決めておく
- パッケージを含め、商品のデザインをおろそかにしないこと
- 必ず試作して仕上がりイメージを確認すること
OEMを希望するお客様、やぶうち商会の場合、どのような事業者さんが多い?
『化粧品製造販売会社、雑貨通販会社、アパレル関連会社、エステサロン、美容院、養蜂家、農家などからの依頼が多くあります』と藪内さん。
藪内さんご自身が異業種からのビジネス立ち上げということもあり、初心者に寄り添ったていねいなアドバイスやサポートが人気を呼んでいます。
2020年、やぶうち商会は富山の薬用植物でトウキ(当帰)の葉を使用してつくられたご当地コスメで注目を集めました。富山県産薬粧植物を生産している農家とのタイアッププロジェクトです。
漢方薬でよく使われる当帰は安価な輸入原料が主流となり、国内生産が減少。貴重な国内産を守るため、これまで廃棄されてきた当帰の葉を活用したコスメを開発することで、持続可能な資源にしていこうというものです。
セリ科の多年草植物である当帰は漢方薬にする場合、根を乾燥させたものを使いますが、葉にも豊富な栄養が含まれています。クラウドファンディングで資金を集め、今まで化粧品成分表示名称になかった「トウキ葉エキス(INCI名:Angelica Acutiloba Leaf Extract)を新規化粧品原料として登録。
「ララハニー トウキ葉コスメシリーズ」として発売しました。
藪内さんは『富山ブランドの一つとして、ご当地の魅力を感じていただくとともに、地元活性化の足掛かりになれば嬉しいです』とのことでした。
ご当地素材を使用、持ち込みの場合、注意しなければならないこと
やぶうち商会では、原料持ち込みでの化粧品開発も可能です。ただし、原料持ち込みの場合にはいくつか注意点があります。
『日本化粧品工業連合会の成分名に登録されている化粧品の原料のすべてが使えるわけではありません。アイテムや処方によって使用できないものもあるので、必ず日本化粧品工業連合会のHPで成分名を検索し、確認することをお勧めいたします。
また、持ち込む予定の原料のSDS(Safty Data Sheet=安全データシート)、試験成績表、成分分析書を確認しますので、ご準備ください』とのこと。
持込原料の供給が不安定、ロットごとに品質がバラバラだったりすると失敗しやすいので注意が必要とのことでした。
やぶうち商会が手掛ける手作り石けんやナチュラルコスメはここが違う!差別化しやすいポイント
やぶうち商会の強みは、小ロット多品種での製造が可能であること。石けんについては100個以上から極小ロットにも対応してくれます。
できる限りシンプルな処方で、石けんに関しては原則防腐剤は使用しません。また、合成保存料や着色料、香料、パラベンなどは無添加で、自然の恵みを活かしたナチュラルな使い心地のコスメを開発できます。
藪内さんによると、やぶうち商会でナチュラルコスメを開発する強みは以下の5つ。
- コールドプロセス製法で手作りに近い石けんを小ロットで開発・製造可能
- MPソープを使った透明石けん(宝石石けん)、液体ソープも取り扱いあり
- 水資源や自然資源に恵まれた富山の素材を使用可能
- 地域活性化などの目的でのご当地コスメ開発OK
- OEM初心者の方でも要望に沿った丁寧なサポート
やぶうち商会のある富山には、立山連峰の清涼な雪解け水や海洋深層水、豊かな自然から育まれるはちみつ製品、“薬の富山”ならではの薬用植物が豊富。地元の魅力を活かしたオリジナルコスメを手掛けてきた経験から、地域に眠っている資源を活用したOEMも可能です。
OEMメーカー・やぶうち商会にお任せする場合、最小ロット数や費用は?
やぶうち商会の場合、石けんであれば100個から、スキンケアなどであれば1,000個ぐらいから対応してくれます。この場合、オリジナルパッケージや容器、印刷代などは別途かかること、資材の最低ロット数は1,000~3,000個が一般的であるのでご注意を。
『オリジナル石けん製造であれば、最低でも50万円程度の予算が必要です』
また、ある程度利益を確保し、商品単価を抑えたい場合なら石けん製造で300個以上、化粧品などのスキンケアなら1,000個以上が目安だそう。ぜひ参考になさってください。
やぶうち商会のオリジナルヒット商品をご紹介!OEM商品開発のぜひ参考に
やぶうち商会では前述で紹介した「ララハニー トウキ葉コスメシリーズ」の他、「ララハニー ブラウンシリーズ」も自社で展開しています。その中で人気の高い商品や藪内さんイチオシの商品を教えていただきました。オリジナルコスメ開発のヒントにしてくださいね。
ララハニーのイチオシコスメ「リップクリーム」
ミツロウ・ホホバ油・オリーブ油・はちみつ・レモン精油でつくられた天然成分100%の無添加リップクリーム。とろけるようなテクスチャーで唇になじみ、うるおいが1日中持続します。ベトつかずリップ下地としてもおすすめです。
- 未精製のミツロウ使用:微量ながらはちみつや花粉、プロポリス、ロイヤルゼリーなど、はちが分泌する成分が含まれています。
- ホホバオイル:アミノ酸やビタミンなど豊富に含み、高い保湿力を発揮。
- オリーブオイル:ビタミンEが豊富。
- 富山県で採蜜したはちみつ:無添加、無精製、非加熱濃縮でビタミンB1が豊富、ミネラル、アミノ酸などの美容成分が生きたまま含まれています。
ミツロウを使ったクリームは一度使ったら手放せない、極上の使い心地ですよ。
富山の恵みたつぷりのコールドプロセス石けん「はちみつ」
時間をかけて製造することで、オイルを劣化させることなくグリセリン(保湿成分)豊富な石けんに仕上げています。「はちみつ」はアーモンドオイルなどの植物油が主原料。
富山県産オーガニックはちみつや富山湾海洋深層水を使用し、肌のうるおいを残したままやさしく洗い上げます。やさしいはちみつの香り。
この他、精油で香りづけした「レモン&グリーン」「ピンクフラワー」「オーガニックラベンダー」など、油脂の個性や配合成分により使い心地が異なる石けんがラインナップしています。
ローズウォーターを贅沢に配合「ララハニー ローション」
富山湾海洋深層水・富山県産はちみつ、ヒアルロン酸・コメヌカエキス、肌を健やかに保つローズウォーター、ローヤルゼリーエキスなど美肌成分を贅沢に配合した化粧水です。
ローヤルゼリーエキスはビタミン・ミネラル・アミノ酸などが豊富。ハリのある若々しい肌に整えてくれます。また、たっぷりと使用したバラの蒸留水(ローズウォーター)で、優雅な香りに包まれながらお手入れできのも嬉しいポイント。
エタノール・パラベンフリー、合成保存料、合成着色料、合成界面活性剤、合成香料不使用。
やぶうち商会では石けんはもちろん、ヘアケアのOEMが可能です。ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。
■取材協力
株式会社やぶうち商会(ララハニー)
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