オリジナル石けんをOEMでつくりたい!コールドプロセスや枠練り製法など石けんづくりの基礎知識を詳しく解説

オリジナル石けんをOEMでつくりたい!コールドプロセスや枠練り製法など石けんづくりの基礎知識を詳しく解説

手作り石けんを楽しんでいるうちに、もっと大勢の方に販売したいと思うソーパーさん。より肌にやさしい自然派の石けんを企画して、自分たちで販売してみたいという事業者の方。

オリジナル石けんを化粧品として販売する場合は、「化粧品製造業許可」や「化粧品製造業販売許可」が必要になります。しかし、個人でその資格を取得するのは大変です。

≫「化粧品製造業許可」「化粧品製造販売業許可」についてもっと詳しく

そんな時に化粧品OEMメーカーにお願いすれば、オリジナル石けんを気軽に企画・開発が可能。新規ビジネスとして成長してきたら、自分たちでライセンスを取得することもできます。

今回はオリジナル石けん製造を検討する場合にぜひ知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説していきましょう。

石けんの主成分は「油・水・苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)」

石けんの材料について

 

石けんの成分表示を見てみると「石けん素地」と書かれていることがよくあります。この石けん素地とは、天然の油脂と水酸化ナトリウムをケン化反応させて、グリセリンと高級脂肪酸ナトリウムに加水分解させたもの。

石けんは、油と良くなじむ成分(親油基)と水によくなじむ部分(親水基)の両方を兼ね備えていることから、汚れを良く落とすことができます。つまり、昔から日常的に使われてきた界面活性剤ということですね。

≫化粧品に含まれる成分・種類・アイテム別処方割合についてもっと詳しく

石けん素地の製造方法は大きく分けて2つ「中和法」「けん化法」がある

石けんの製造方法を解説

石けん素地の製造方法には古くから行われてきた「けん化法」と、ローコストで大量生産できる「中和法」の2種類あります。それぞれを簡単に説明しましょう。

油と苛性ソーダ、水で反応させてつくる「けん化法」

油脂(エステル)にアルカリを加えて反応させる=けん化(化学反応)ことで石けんをつくる方法。けん化法には以下の3種類があります。

  1. 釜炊き塩析法(加熱)
  2. 釜炊きけん化法(加熱)
  3. コールドプロセス製法(加熱しない)

純度の高い石けんが作れる「釜炊き塩析法」

まず初めに油を大きな釜に入れて加熱。水と苛性ソーダを加えてけん化します。その後、食塩水を加え(塩析)石けんからグリセリン・不純物を分離。出来上がった液状石けんを型に流し込み、固めて熟成させます。

<メリット>
●洗浄力が高い
●溶けにくい
●無添加で仕上げられる

<デメリット>
●熟練した職人技が必要で出来上がるまで時間と手間がかかる

塩析をしないで仕上げる「釜炊きけん化法」

作り方は「釜炊き塩析法」と同じで、最後に塩析をしないだけの違いです。釜炊き塩析法に比べ、保湿成分であるグリセリンが残るのが特徴。釜炊きの場合は、ホットプロセス製法ともいいます。

加熱せず、自然の反応熱のみでけん化する「コールドプロセス法」

石けん製造法のひとつコールドプロセス法

釜炊きけん化同様、油脂に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えてかき混ぜ、そのままでけん化させます。不純物が残った石けんができるので、洗浄力がマイルドになります。天然の植物エキスやハーブなど、熱に弱い成分を使いたい場合は、こちらの方法が向いています。

<メリット>
●加熱しないので原料オイルの酸化が少ない
●「釜炊き塩析法」に比べ廃液が少なく環境負荷を軽減
●スキンケア成分が残る

<デメリット>
●溶けやすい
●けん化に時間がかかる

脂肪酸だけを苛性ソーダで反応させてつくる「中和法」

油脂をあらかじめ「脂肪酸」と「グリセリン」に分離させ、脂肪酸だけをアルカリを反応させてつくります。短時間、ローコストで大量生産が可能。型崩れしにくい石けんが簡単に製造できます。

<メリット>
●コストを抑えられる
●使いたい脂肪酸を選んで作ることができる
●溶けにくい

<デメリット>
●保湿成分を含まない

石けん素地を固形石鹸に仕上げる方法は「機械練り法」「枠練り法」の2種類

石けんの仕上げ方法・機械練り

出来上がった石けん素地に保湿剤や香料、色素などを加え、使いやすい大きさの固形石鹸に仕上げていきます。

仕上がりが美しく短時間で作れる「機械練り法」

石けん素地に香料、色素、保湿成分を配合してミキサーで均一に混ぜ合わせた後、棒状に圧縮して押し出し、型打ち機で一定の大きさに整えるなど、全工程を機械で行う製法です。

<メリット>
●コストを抑えられる
●泡立ちが良い
●洗浄力が高い
●均一な形に仕上がる

<デメリット>
●水に溶けやすい
●保湿成分が少ない
●個性を出しにくい

美容成分を多く配合できる「枠練り法」

石けんの仕上げ・枠練り法

枠練り石けんは、石けん素地をけん化法ででつくり、液体状態のところへ香料、色素、保湿成分を配合して均一に混ぜ合わせた後、大きな枠に流し込んで冷やし固める製法です。固まった石けんは枠から取り出し、最後に型打ちして仕上げます。主に透明石けんで採用される方法です。

人の手作業が行程に入るので、製造に時間と手間がかかること、大量生産できないためコストが高くなります。長期間熟成させることでアルカリ性から中性よりに落ち着かせることも可能。

<メリット>
●美容成分を配合できる
●しっかり乾燥させたものは泡立ちが良く溶けにくい
●個性を出しやすい

<デメリット>
●コストがかかる
●出来上がるまで時間がかかる
●成分によっては洗浄力が弱くなる

「機械練り石けん」は98%を石けん素地としなければならないのに比べ、「枠練り石けん」は石けん素地の割合が60~70%でよいため、有効成分をたっぷり配合できるのが魅力。

オリジナル石けんで個性を出したい場合は、枠練り石けんがおすすめということになります。

固形石けんと液体石けんの違いは?原料が違う!

固形石けんと液体石けんの違い

液体石けんは固形石けんを水で薄めたものではなく、原料が違います。固形石けんは苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を使いますが、液体石けんは苛性カリ(水酸化カリウム)を使ってけん化します。

水に溶けやすい性質があるため、純石けん分の配合を少なくする(30%以下)ことで液体の状態を保つことができます。形状もジェルタイプや泡ででてくるタイプなど、使い勝手を考えたものにできるのが魅力です。

ちなみに“ボディソープ”として販売されているものは、石けん素地をベースにしたものだけではなく、化学的に合成した洗浄剤(界面活性剤ベース)もあります。

石けんは約アルカリ性ですが、合成洗浄剤でできたボディソープであれば、アルカリ性から酸性まで自由にpH調整が可能です。

石けんによく使われる油脂の種類と特徴は?

ココナッツオイルなど石けんに使われる油脂類

石けんの原料である油脂にはさまざまな脂肪酸が含まれ、その種類・特徴により、使い心地や泡立ち、洗浄力などが変わってきます。

飽和脂肪酸であるラウリン酸やミリスチン酸、ステアリン酸などは固い石けんが作れますが、不飽和脂肪酸(オレイン酸やリノール酸など)は柔らかく、溶けやすい、酸化しやすいという特徴があります。

以下、脂肪酸と含まれている主な油脂、石けんにした場合の特徴についてまとめてみました。

脂肪酸の種類 原料の油脂 泡立ち 洗浄力 水への溶けやすさ 使い心地
ラウリン酸 ココナッツ油・パーム油など さっぱり
ミリスチン酸 ココナッツ油、牛脂など さっぱり
パルミチン酸 米ぬか油、ミツロウ、牛脂など さっぱり
ステアリン酸 牛脂、ココアバターなど × さっぱり
オレイン酸 オリーブ油、ひまわり油など さっぱり
リノール酸 グレープシード油、米ぬか油など マイルド
パルミトレイン酸 マカデミアナッツ油、馬油など マイルド
リシノレン酸 ヒマシ油 しっとり

ラウリン酸は肌への刺激が強いといわれていますが、泡立ちがよいことから他の脂肪酸と混ぜる、少なめに配合するという具合に調整されることが多いようです。

洗浄力の高さではステアリン酸が高く、うるおいを残しながら洗うならオレイン酸やリノール酸などが使われている方がマイルドといわれています。

ちなみに透明石けんによく使われているのはグリセリンやアルコールなどですが、仕上がりが柔らかくなってしまうので、リシノレン酸(石けんが固く仕上がる)を使用する場合も多いようです。

≫オリジナル石けんを手作りする方法についてもっと詳しく

洗浄力を良くし、石けんカスを抑える目的で使われる”キレート剤”

石けんによく配合されている「エデト酸塩」はキレート剤の代表的な成分。水の中に含まれるミネラル分を閉じ込める働き(金属封鎖)を持ち、石けんの泡立ちを良くする、石けんカスをださない働きがあります。また、化粧品の品質を劣化させない安定化剤としての役割も。

ヨーロッパなど硬度の高い水だと、石けんが泡立たないため、このキレート剤が良く使われますが、最近では環境への影響が問題視されています。

キレート剤もさまざまな種類があるので、オリジナル石けんのコンセプトに合わせて、どのようなものを使うかじっくり検討する必要がありますね。

≫石けんなどで使われる「キレート(金属封鎖)剤」についてもっと詳しく

石けんOEMのロット数や費用感はどのぐらい?

石けんOEMのロット数や費用

石けんの場合、小さな工房で石けん職人が手作りというメーカーが意外にあります。この場合、大量生産は難しいですが最小ロットで100個ぐらいからお願いできる場合も。

使用するオイルの種類やグレードにもよりますが、20~30万ぐらいの予算で引き受けてくれるメーカーもあるようです。

自分たちで包装やラベルを貼付したいという方もいらっしゃると思いますが、その場合は製造行為にあたりますので「化粧品製造業」の「包装・表示・保管区分」の許可が必要になりますのでご注意を。

石けんのOEMメーカー選びのポイント

石けんOEMメーカー選びのコツ

化粧品としての石けんを企画・開発・製造・販売したい場合、「化粧品製造業許可」や「化粧品製造業販売許可」を持つOEMメーカーにお願いするのが早道です。

では、自分たちがイメージしている石けんや条件にあう石けんのOEMメーカーをどのように探したいいのでしょうか?製造目的やこだわりによっておすすめのメーカーが変わります。

まずは、自分たちがつくりたいオリジナル石けんのコンセプトや費用、スケジュールに合わせた製造方法をチェック!その上で条件にあうOEMメーカーを選択するのがベストですね。

ホテルアメニティなど出来るだけコストを抑えて、安定した品質の石けんをつくりたい場合なら、「中和法」「機械練り」の製造ラインがあるメーカー。

手づくりの良さを残しながら、ある程度安定した品質の石けんがつくりたいなら、「釜炊きけん化法」「枠練り」ができるメーカー。

美容成分をふんだんに使い、こだわりの石けんをつくりたいなら「コールドプロセス法」「枠練り」が可能なメーカーなどなど。

OEMプロでは、得意なジャンルやテーマ別に石けんOEMメーカーをご紹介していますので、以下の記事もぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

石鹸OEMメーカー9選!小ロット・コールドプロセスなど、特徴別に比較紹介