【化粧品OEMに欠かせない基礎知識6】化粧品の使用目的や特徴、成分の安定性に欠かせない「pH調整剤」について解説
化粧品には品質を維持するために使われる保存料や酸化防止剤。その成分が殺菌力や抗菌力を発揮するためには、化粧品のpHを調整する成分が必要です。
また、私たちの肌は自ら殺菌力を発揮するため、常に弱酸性(pH4.5~6ぐらい)に保たれています。その働きが衰えたり、肌の機能がまだ未熟な赤ちゃんや年齢を重ねた方の肌などは、調整がうまくできない場合も。そういう場合は、pH調整剤を使い、肌にやさしい弱酸性の化粧品をラインナップすることもあります。
今回は化粧品を安定化させる成分の中でも、少し地味な存在であるpH(ペーハー)調整剤について解説していきます。
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化粧品にph調整剤が必要な理由
pH(ペーハー)とは水溶液の性質をあらわす単位。0から14までの数値で酸性からアルカリ性までの度合いを示すものです。0に近づくほど酸性が強く、14に近づくほどアルカリ性が強く、中間である7は中性になります。
酸性を示す代表的なものはレモンのしぼり汁ですが、なめたときにすっぱい、鉄などの金属と反応して水素を出す、細菌の繁殖を抑えるなどの性質があります。
一方、アルカリ性を示す代表的なものは重曹ですが、なめたときに苦みがある、触った時にぬるぬるしている、タンパク質などを溶かす性質があります。
化粧品にpH調整剤を使用する理由のひとつは、防腐剤が高い抗菌作用を発揮する弱酸性に調整すること。品質を良好に保つための大事な成分のひとつです。
また、石けん・洗顔料は肌の汚れを落とすためにアルカリ性のもの多く、洗顔後の肌が自然な弱酸性に戻るまで時間がかかります。このため、肌の働きが弱い人向けの化粧品では、化粧水を肌と同じ弱酸性にすることで中和できるよう設計する場合も。そんな場合はpH調整剤がよく使われています。
化粧品によく使われるpH調整剤の種類について
化粧品に使われる代表的なpH調整剤は8種類ぐらい。「アルカリ性」「酸性」の2タイプあります。それぞれを詳しく見ていきましょう
成分 | 特徴 | pH |
クエン酸、クエン酸Na | ・でんぷん質などの糖類を発酵させて得られる有機酸、レモンやみかんなどにも多く含まれている ・化粧品の酸性度を調整する場合、最もポピュラーな成分 ・収れん作業があり、角質除去などにも使われる ・高濃度で配合すると肌を刺激する場合も |
酸性 |
アスコルビン酸 | ・ビタミンCのこと ・化粧品では酸化防止剤として表示可能 ・酸性度を調整するph調整剤として食品添加物にもよく使われる ・美白成分としては、アスコルビン酸だけでは不安定なのでビタミンC誘導体の形で配合されている |
酸性 |
グリコール酸(フルーツ酸) | ・α-ヒドロキシ酸のこと、AHAと呼ばれる場合もある ・リンゴや柑橘系果物やきび砂糖などから抽出される天然由来の成分 ・クエン酸に比べ、ピーリング効果を期待して配合する場合が多い |
酸性 |
コハク酸 | ・フルーツ酸の一種で、貝類などに含まれるうまみ成分でもある ・pH調整作用の他肌の収れん作用がある ・水、アルコール、グリセリンなどに溶けやすい性質 |
酸性 |
水酸化ナトリウム(苛性ソーダ) | ・石鹸の素材などに使われる代表的なアルカリ剤 ・カルボマーなどの増粘剤と併用すると増粘効果がアップ(とろみがつく) ・肌に原液がつくとダメージが大きい(油やタンパク質を分解する)ため劇物に指定されている |
強アルカリ性 |
水酸化カリウム | ・液体石けん素材に使われる代表的なアルカリ剤 ・増粘剤のカルボマーや(アクリレーツ/アクリル酸(C10-30))クロスポリマーなどにアルカリ中和剤として使用すると増粘効果がアップして乳化安定性を高める ・肌に原液がつくとダメージが大きい(油やタンパク質を分解する)ため劇物に指定されている |
強アルカリ性 |
アルギニン(L-アルギニン) | ・アミノ酸の一種で水に溶けるとアルカリ性になる(塩基性アミノ酸) ・増粘剤のカルボマーの中和剤などにも使用 ・液体のアミノ酸系石けんを作る時に使われる |
アルカリ性 |
TEA(トリエタノールアミン) |
・化学的に合成 ・液体石けんをつくるときに使用 ・乳化剤や粉体をよく拡散させる目的で使用される |
弱アルカリ性 |
「pH調整剤」は石けんづくりと化粧品の品質安定に欠かせないもの
pH調整剤は化粧品の品質を安定化するために、縁の下の力持ち的存在です。酸性からアルカリ性のコントロールをするだけではなく、収れん作用や汚れを落とす作用など二次的な働きを持つものもあります。
また、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどは、石けんづくりには欠かせない存在。増粘剤のとろみを増すために使われることもあります。
ご当地化粧品で温泉水を使う場合があるかと思いますが、泉質についても酸性~アルカリ性まで幅があります。酸性ならピーリング効果が期待でき、アルカリ性ならクレンジング効果というよに目的に合わせたPRが可能です。
ph調整剤を活用して、目的に合わせた化粧品を開発する場合は、ぜひ、プロの手を借りながらいろいろなアプローチを検討してみましょう。
化粧品OEMについて詳しく知りたい方、ロットや費用の相場感を知りたい方はこちらをご覧ください。
>>化粧品OEMとは?かかる費用や、OEMメーカーの選び方を徹底解説
▼参考文献
「美肌のために、知っておきたい 化粧品成分表示のかんたん読み方手帳」(発行:株式会社永岡書店)
「美肌成分事典」(発行:株式会社主婦の友インフォス)
▼化粧品化粧品OEMに欠かせない基礎知識シリーズ
1.成分・種類・アイテム別の処方割合は?
2.お肌の悩みに応える機能性成分・美容成分<美白・アンチエージング・ニキビケア>
3.お肌の悩みに応える機能性成分・美容成分をズバリ解説<毛穴・くすみ・目の下のクマ・肌質別お手入れ>
4.化粧品の品質を守る防腐剤・酸化防止剤について
5.化粧品の使い心地(テクスチャー)を良くする増粘剤・ポリマーについて
6. 化粧品の使用目的や特徴、成分の安定性に欠かせないpH調整剤について
7.石けんなどでよく使われているキレート(金属封鎖)剤について
8.化粧品に香りをつける香料(着香剤)について
9.化粧品に色をつける着色料について
10.日焼け止めに使う紫外線吸収剤・紫外線散乱剤について
11.化粧品のキー成分!代表的な「保湿成分」について
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