フェムテックとは?女性特有の悩みをテクノロジーで解決する商品開発をOEMで叶える【市場トレンドリサーチ(5)】
最近、よく耳にするようになってきた「フェムテック」ということば。「女性(Female)と技術(Technology)」を組み合わせた造語で、女性が抱える様々な悩みをテクノロジーで解決・サポートする商品やサービスのことをいいます。
海外では急速に市場が拡大。日本でもフェムテックをテーマとした商品開発が注目を集めています。女性特有の健康課題や悩みをタブー視する風潮が強かったため、取り組む企業がまだまだ少なく、まさに宝の山。
今回はフェムテックについて詳しくご紹介するとともに、商品開発のヒントとなるような情報をお届けしたいと思います。
新規でOEMビジネスを始めたいと考えている方、OEMについて詳しく知りたい方、ロットや費用の相場感を知りたい方はこちらも参考に。
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フェムテックが重要視されるようになった背景には、女性の社会進出が挙げられる
2006年に国連が提唱したESG(Environment=環境、Social=社会、Governance=ガバンスの略称)に基づき、各要素を意識した経営に取り組む企業が増えています。ESGに取り組む企業に投資する「ESG投資」という動きが活発になっているからです。
ESGのうちSocialを意識した経営とは、労働者の勤務条件の是正や男女差別の撤廃などが挙げられます。女性を積極的に雇用する取り組みが評価された企業は「なでしこ銘柄」として経済産業省から毎年認定。優秀な人材を集めやすくなるとともに、投資家から注目されるというメリットも。
また、2015年に採択したSDGs(持続可能な開発目標)の中でも目標5として「ジェンダーの平等を実現しよう」が掲げられており、女性の社会進出は重要であると位置づけられました。
日本では女性の社会進出は増たものの、相変わらず「育児や家事、介護は女性の仕事」という考え方が根強くあり、男女間で平等な採用形態や待遇、産休・育休、保育サービスの充実などは立ち遅れているのが実情。非正規雇用が多い、コロナ禍で解雇されるなど問題は山積みです。
また個人差があるものの、女性特有の悩みや症状が仕事やキャリアに少なからず影響を及ぼしてしまうことも事実。その問題をテクノロジーで解決し、社会的な損失を減らして、女性の社会進出をサポートしていこうというのが「フェムテック」です。
フェムテックは今後、優秀な人材や労働力を確保したい企業にとって重要な商品・サービスであり、投資家からも注目を集めている市場といえます。
フェムテックとは具体的にどんな商品やサービスのこと?
フェムテックということばが認知されるきっかけとなったといわれているのが、2012年にデンマークの女性が開発した生理周期管理アプリ「Clue(クルー)」。実は日本でも2000年から生理日管理ツールとして「LunaLuna(ルナルナ)」がありました。
LunaLunaはまだ携帯電話(ガラケー)のWebサイトで管理する仕組みでしたが、現在ではスマフォ向けのアプリになり、2021年現在では1,700万ダウンロードを達成しています。
フェムテックには以下のようなテーマがあります。
- 生理
- 妊活や不妊
- 妊娠中や産後
- 更年期
- ウェルネス(女性特有の疾患)
- セクシャルウェルネス
- メンタルヘルス
それぞれをテーマにした商品やサービスなどをダイジェストに紹介していきましょう。
生理による社会損失を抑えるフェムテック
毎月訪れる生理は、身体的な症状(出血、便秘、下痢、腰痛、むくみなど)だけではなく、メンタル症状(イライラ、気分がふさぎ込む、眠気、集中力の低下など)などに悩まされる女性が多くいます。
生理期間中だけではなく生理前に起きるPMS(月経前症候群)、排卵痛など、1か月の半分は調子が悪いという人も。経済産業省が2019年に行った「健康経営における女性の健康の取り組みについて」によると、女性特有の月経随伴症状による労働損失はなんと4,911億円と試算されています。
生理中のさまざまな悩みに対処する代表的なフェムテック商品・サービスには以下のようなものがあります。
- 生理日管理ツール「LunaLuna(ルナルナ)」:生理日や排卵日、妊娠しやすい時期などを予測
- 月経カップ:繰り返し使えて経済的、生理中の不快感も低減
- 吸水ショーツ:経血も吸収可能なショーツ(法律上、生理用品といえなのが難点)
- 布ナプキン:肌荒れやかゆみを軽減、繰り返し使用できる
- 生理痛をやわらげる:お腹を温めるショーツ型の温熱シート(okamoto)
- デリケートゾーンケア:かゆみやにおいの軽減、ナプキンの摩擦による黒ずみを防ぐなど
- mederi Pill:LINEで診療予約、ピル服用サポートなどが受けられるサービス
- スマルナ:アプリを使ったネット診療サービスで医師や薬剤師、看護師などの医療機関とつなぐプラットフォーム
- Cora:アメリカの生理用ナプキンのサブスクサービスで、購入すると、インドなどの少女達(貧困層)に生理用品が寄付される仕組み。
最近では月経痛をやわらげる、子宮内膜症の治療を目的に低用量ピルを服用するケースがあります(月経困難症と診断されれば保険適用される)。また、過多月経や生理痛にも有効ということで注目されているのが避妊リング「ミレーナ」です。
海外で特に注目されているフェムテックとしては、吸収経血量を確認できるBluetoothタンポンや、生理痛・PMS(月経前症候群)を軽減するお菓子のサブスクサービス(CBD使用の商品)、お腹に電極を張り付け、弱い電気刺激で生理痛を緩和するTENS(経皮的神経刺激)キットなども、今後注目される分野といえるでしょう。
妊活・不妊などに欠かせないフェムテック
いざ子どもを持ちたいと思ったときに、スムーズに妊娠できないことはよくあること。前述のLunaLunaでも生理周期の管理だけではなく、産婦人科医師の監修を受けながら、基礎体温や排卵日などのデータから統計的に妊娠しやすいタイミングや排卵日を予測するアルゴリズムの構築を進めています。
妊活・不妊の悩みに対処する代表的なフェムテック商品・サービスには以下のようなものがあります。
- 妊活コンシェルジュ「famioneファミワン」:LINEを活用し、専門家によるアドバイスを提供
- canvas(キャンバス):ホルモン数値を自宅でチェックできる商品
- Kegg:女性のおりもの(子宮頚管粘液)の状態を測定し、妊娠しやすい時期を把握するためのデバイス、fermata株式会社と浜田病院との共同臨床研究中
- F check(エフチェック):卵巣年齢を自宅でチェックできる商品、妊娠する力=妊孕力(にんようりょく)をチェックできる
- Grace Bank:卵子凍結サービス
- ファーティリリーカップ:受精を補助する
- cocoromi:不妊治療データを検索できるサービス。自分の治療ログすることで、最適化されて情報が得られる
- 婦人科ラボ:妊活・不妊治療のクリニック検索予約プラットフォーム
この他、インドでは尿検査とスマホを組みあわせ、自宅で妊娠しやすいタイミングを教えてくれる妊活ツールや唾液でホルモンバランスを管理できるカナダのデバイス、膣内に入れて受精確立をアップさせるシンガポールのデバイスなど、次々と画期的な商品が開発されています。
妊娠中や産後をケアするフェムテック
妊娠・出産は女性にとって心身に負担が大きいライフイベント。病気ではありませんが、体調の変化や集中力の低下、腰痛、便秘、むくみなど仕事効率などに影響を与えます。
また産後は情緒不安定やうつ症状などを引き起こす場合も。授乳による睡眠不足、乳腺炎など息つく暇もありません。
妊娠中や産後の悩みに対処する代表的なフェムテック商品・サービスには以下のようなものがあります。
- Garmin Connect:妊娠トラッキング機能を持つアプリ。健康データと一緒に、妊娠状況の経過を確認できる。スマートウォッチ「Lily Classic」と連動。
- 産婦人科オンライン:スマホのLINEアプリで産婦人科医・助産師に相談可能(24時間以内に返信)
- じょさんしONLINE:妊娠から育児期をサポートする各種オンライン講座や妊娠期から生後1歳半までの継続支援サービスなどを提供
- パパっと育児:赤ちゃんの育児記録、赤ちゃんの泣き声診断機能を提供。
- 分娩監視装置iCTG:いつでも・どこでも遠隔で胎児モニタリングできるように小型・IoT化したモバイル型装置(医療機器)で、遠隔で受けられる妊産婦健診装置
- VIONEEセンシティブにこプラス:出産中特にダメージを受けやすく、回復が遅い膣周りのケアをし、状態を整えるためのカプセルタイプの美容オイル。
- リネ(Rinē)の吸水ブラレット:ブラ自体に吸水機能を持たせ、母乳もれを防ぐ。
- 尿漏れ対応の吸水ショーツ
- 骨盤底筋トレーニンググッズ(膣トレーニング)
この他、スマホやタブレットで、子供の昼寝中の呼吸や心拍の状態の異変をリアルタイムに検知するもの、アプリと連携し、睡眠中の赤ちゃんの心拍数と、血中酸素濃度をモニターするものなど、初めての子育てで不安を感じる場合のサポートも。
妊娠初期で匂いに敏感になっている時に、無香料で使いやすいコスメなども話題になりました。
更年期の悩みをサポートするフェムテック
年齢を重ねると生理が不規則になり、やがて閉経(生理が来ない状態が12か月以上続いた場合、1年前を振り返って閉経)を迎えます。日本人女性の平均閉経年齢は約50歳前後で、早い人は40代前半から遅い人で50代後半。
閉経前の5年と閉経後の5年を合わせて10年間が「更年期」です。更年期にはさまざまな不定愁訴(はっきりしない心身の不調)が現れ、個人差はありますが症状が重い場合を「更年期障害」といいます。
更年期の悩みに対処する代表的なフェムテック商品・サービスには以下のようなものがあります。
- 閉経後のGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)ケア:Webサイトやアプリサービス「TRULY(更年期やセックスの悩み相談が可能)」、専用のオンラインストアなど
- デリケートゾーンのケア:洗浄剤や膣マッサージ剤(オイルやジェル、ローションなど)
- 骨盤底筋トレーニンググッズ:膣委縮やゆるみ、尿漏れの予防や改善など
- 医療機関が提供するエネルギーデバイス:炭酸ガスレーザーや超音波、高周波を使ったデバイスで、膣の萎縮やゆるみを改善
- よりそる:更年期やこの時期に重なるお悩みを自分で解決できるようになる
オンラインプログラム - 性交痛軽減グッズ「OHNUT」や保湿ケアなど
これまでのフェムテック商品・サービスは生理にスポットを当てたものが多くあり、更年期に関するものが少ないという傾向が。更年期向けのフェムテックとして「メノポーズテック」ということばもあるぐらい。
今後は更年期の悩みに応える商品開発が注目を集めそうです。
また、女性だけではなく、男性にも更年期はあり、気持ちの落ち込みなどのメンタル症状の他、全身倦怠感や筋肉の痛み、頭痛、めまい、耳鳴り、頻尿などさまざまな症状を引き起こします。
最近はフェムテックに対し「メンテック」ということばも生まれ、Seem(精子の濃度と運動率を自宅でセルフチェックできる商品)や精子凍結サポート、ED、薄毛など幅広いテーマで次々商品が誕生。こちらも併せて検討してみるのもいいですね。
ウェルネス(女性特有の疾患)に応えるフェムテック
乳がんや子宮がん、卵巣がん、乳腺症、子宮内膜症、子宮筋腫など、女性特有の病気は30代からリスクが高まってきます。
Lily MedTechは、乳房用リング型超音波画像診断装置「COCOLY(ココリー)」の国内販売を、2021年5月10日に開始。乳房を圧迫せずに精度の高い画像診断が可能になっています。
また、経腟超音波(経腟エコー)検査は子宮や卵巣などの中の状態を調べることができる新しい検査で、痛みがなく放射線に被曝することもないので安心。疾患の早期発見につながります。
「anamne(アナムネ)」は健康診断や相談、診療、情報検索、健康維持などをオンラインで叶えるサービス。対応はすべて女性医師なので相談しやすいのがメリットです。
この他、乳がんン患者用の下着の開発や沐浴ウェアなど、女性の気持ちに寄り添った商品企画なども考えて欲しいテーマです。
セクシャルウェルネスに踏み込んだフェムテック
女性の場合、なかなかオープンにしてこれなかったセクシャルウェルネス。WHO(世界保健機関)によると、セクシュアルウェルネスとは “セクシュアリティに対して身体的、感情的、精神的、社会的にも健康な状態であること”を指すと定義しています。
性にまつわる健康には“喜び”の要素も含まれるので、セルフプレジャーや膣トレなどのセルフケアは性の健康を維持するためには必要なこと。海外セレブたちが次々と女性向けのおしゃれなセックストイグッズを企画開発、販売するなど注目を集めています。
メンタルヘルスを支えるフェムテック
2020年の女性の自殺者数は前年を上回り、15.4%増加したといわれています。コロナ禍で働く女性の自殺が増え、雇止めや非正規で働く女性のシフト源など、労働環境の悪化が原因の一つとも。
最近注目を集めているのがCBD商品。オイルや飲料、タブレット、化粧品などが作られており、ストレス緩和やメンタルケア、痛みの緩和、不眠改善、PMS・更年期症状の緩和なども期待されています。
CBDをタンポンの外側にコーティングし、生理痛を軽減するという商品もイギリスで開発・発売されました。日本ではまだまだなので、CBDを活用したメンタルヘルス商品の開発は伸びそうですね。
フェムテックはまだ浸透していないが、その内容を知った後は高い関心を持つようになる
2021年12月4日~7日に宝島社がインターネットで全国の10~70代の読者2,230名(女性1934名、男性288名、その他8名)に、フェムテックの認知度に関してアンケート調査を実施(引用元:PRtimes)しました。
その結果、「フェムテック」という言葉を知っているのは8.7%、意味まで理解していると答えたのはわずか3.2%だったそうです。
しかし、フェムテックの意味を説明した後に再度アンケートをとったところ、多くの方が自分に関係するサービスだと認識。フェムテックに興味があると回答した方は約8割強に上りました。
宝島社では、フェムテックの認知度向上を目指し、10~60代まで各世代をターゲットにした女性誌11誌・男性誌2誌の計13誌合同でフェムテック・フェムケア啓発プロジェクト「もっと話そう! Hello Femtech(ハローフェムテック)」をスタート。
2022年から「もっと話そう! Hello Femtech」イベント(3月開催予定)を実施。メーカーとコラボし、オリジナルパッケージやオリジナル商品を宝島社EC サイトで販売しています。
マスメディアを通じて、今後より多くの方にフェムテックの情報が届きやすくなるので、注目を集めることができそうですね。
フェムテックは資金調達しやすいジャンル、経済産業省からのバックアップも
女性の社会進出を手助けするものとして経済産業省では「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を実施しています。2022年(令和4年)度の公募期間は1月27日(木)で締め切られていますが、今後も支援が継続されるはず。
一般企業だけではなく自治体や医療機関などさまざまな事業者などが連携し、次々と新しい商品・サービスを生み出している成長分野。今後目が離せないジャンルといえそうです。
フェムテック商品のOEMに力を入れているメーカーも登場
OEMメーカーでも石田香粧株式会社などはフェムテック商品開発に積極的に取り組んでいます。
植物エキスや低刺激の処方に長年取り組んできた実績を活かし、デリケートゾーンのケア商品(洗浄剤や保湿剤などのフェムテックに特化したコスメの開発など)を手掛けているとのこと。オーガニックなどこだわりのある商品開発も得意なメーカーです。
テストマーケットとして小ロット生産を希望する場合も相談にのってくれますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
・第1回:伸び続けるメンズコスメマーケットを調査
・第2回:コスメ市場のエシカル消費やSDGsについて
・第3回:異業種から化粧品業界へ新規参入
・第4回:ヒト幹細胞コスメ企画・開発のヒント
・第5回:女性特有の悩みをテクノロジーで解決するフェムテック
・第6回:パーソナライズコスメの徹底研究
・第7回:化粧品D2Cの成功事例や各メーカーのDXへの取組みを紹介
・第8回:越境ECの現状と成功させるカギは?
新規でフェムテック業界参入を考えているならOEMメーカーを活用しよう
フェムテック分野はまだまだこれから成長が見込めるジャンル。国からの積極的な後押しもあり、新規事業として立ち上げるチャンスといえます。
OEMメーカーを頼れば、初めてフェムテック商品を企画・開発する場合に大きなハードルとなる美容機器等の開発、化粧品開発の製造許可などを取得する必要がありません。
フェムテック業界の最新情報にも精通し、女性特有の問題に寄り添い、解決していく商品・サービス開発・開発のポイントやアドバイスももらえますよ。
「OEMプロ」なら条件にぴったりのフェムテックOEMメーカーを無料でご紹介可能です。ぜひお気軽にお問合せください。
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