化粧品ビジネスに異業種から新規参入!オリジナルコスメをOEMで成功させる秘訣は?【市場トレンドリサーチ(3)】
化粧品ビジネスに異業種から参入するケースが注目を集めています。中でも富士フィルムが自社オリジナルブランド「アスタリフト」を立ち上げ、化粧品業界に参入した時は大きな衝撃を受けました。
最近では、製薬会社や食品会社、家電量販店などさまざまな業種からコスメビジネスに参入する例が続いています。その背景には、化粧品の販売チャネルが多様化していることがポイント。
かつてのように店頭販売・訪問販売だけではなく、ネット通販やTVショッピングなどさまざまな販売チャネルが生まれ、SNSやネットを使った販促活動も売り上げアップに貢献するようになりました。
今回は異業種から新規コスメビジネス参入の例と成功のポイント、今後の見通しなどについてご紹介していきます。
異業種から新規で化粧品ビジネスを始めたいと考えている方、OEMについて詳しく知りたい方、ロットや費用の相場感を知りたい方はこちらも参考に。
>>化粧品OEMとは?かかる費用や、OEMメーカーの選び方を徹底解説
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異業種からコスメビジネスに参入した企業の例
多くの企業が自社の事業分野とはかけ離れた化粧品ビジネスへなぜ参入しようと考えたのか。また、独自のオリジナル化粧品をヒット商品として育て上げることができたポイントについてまとめてみました。
業種 | 企業名 | コスメブランド名 |
写真フィルム製造業 | 富士フィルム | アスタリフト |
皮革業 | ニッピ | ニッピコラーゲン化粧品 |
食品業 | 味の素 | ジーノ |
食品業 | グリコ | ジージーエイジングケア |
製薬業 | ロート製薬 | オバジ、肌ラボ、50の恵など |
製薬業 | 大正製薬・ドクタープログラム | トリニティライン |
酒造業 | 勇心酒造 | ライスパワー |
宝飾製造・販売業 | ミキモト(御木本製薬) | ミキモトコスメティクス |
写真分野で培った画像解析技術やフィルム技術を応用、富士フィルムのオリジナルコスメ「アスタリフト」
富士フィルムは、写真フィルム製造の会社として1934年に創業した企業。その後デジタルカメラの普及により、写真フィルム事業が縮小し、新たに化粧品事業へと参入しました。
写真フィルム製造分野で培ってきた4つのコア技術を美容分野へ応用し、オリジナルコスメブランド「アスタリフト」を2007年に開発しました。
コア技術1つ目は、写真フィルムの内部に成分を正しく配置させるために進化させたナノテクノロジー、2つ目は写真フィルムの主成分であるコラーゲン研究、3つ目は写真の色褪せを防ぐ紫外線防御技術(抗酸化)、4つ目は光解析・コントロール技術による肌内部の可視化です。
「アスタリフト」といえば赤い成分「アスタキサンチン」。デリケートな成分を独自のナノ化技術で安定的に高濃度に配合し、浸透力を高めたスキンケアとして話題を集めました。通販でスタートし、その後、松田聖子・中島みゆきを起用したテレビCMで一躍全国区に。
その後、技術力を活かした独自成分を次々開発しています。
- ヒト型ナノセラミド
- ナノアスタキサンチン、ナノリコピン
- ナノAMA(ツボクサエキス)
- ナノグリチルレチン酸
- ヒト型ナノヘアセラミド
- D-UVガード(紫外線防御剤)
- ナノオリザノール(米ぬか由来成分)
- CLリフレッシャー(R)(うるおい成分)
- ナノレスベラトロールEX(プテロカルプスマルスビウム樹皮エキス)
最新の研究ではAI画像認識技術を肌解析に応用し、角質層に蓄積された「角質メラニン」に着目した独自の美白研究を行っています。
また、2019年より30代後半の男性向けスキンケア「アスタリフト メン」も発売スタート。百貨店やセレクトショップ等で販売しています。
皮革業が原点、ゼラチンやコラーゲンの研究から生まれた「ニッピコラーゲン化粧品」
(株)ニッピは1907年に皮革関連製品の製造販売を原点とする企業。1958年からコラーゲン研究を始め(現在の株式会社ニッピバイオマトリックス研究所)、その後不透性コラーゲンの可溶化に関する特許を取得するなど、コラーゲン研究を進めてきました。1960年1月26日は「コラーゲンの日」であり、コラーゲンを水に溶かすことに成功した人して一般社団法人記念日協会に登録されています。
1984年にコラーゲン化粧品の開発を開始。1988年からはニッピコラーゲン化粧品の会社を立ち上げ、現在に至ります。高品質なコラーゲンを提供する国内シェアNo.1メーカーとして、医療や医薬品、食品分野へも原料を提供。
「ニッピコラーゲン100ドリンク」は無味無臭の低分子コラーゲンを使用した健康・美容ドリンクとして2021年度モンドセレクション最高金賞を受賞しています。
ニッピコラーゲン化粧品は、独自の生コラーゲン(ニッピ生コラーゲンSCL)や3種類のコラーゲンを配合したもの。コラーゲン美容のパイオニアとして、現在ではスキンケアからヘアケア、ボディケア、メイクアップと幅広い商品ラインナップを展開しています。
美容成分としてのアミノ酸を独自開発、味の素のオリジナルコスメ「ジーノ」
1908年に池田菊苗博士が昆布から抽出した旨味成分「グルタミン酸」を発見。1909年に世界初の旨味調味料として“味の素(R)”発売を原点とする味の素グループは、世界一のアミノ酸メーカーとして知られています。
1997年に“肌が食べる化粧品”をキャッチフレーズとして、アミノ酸の美容効果に注目して開発した「ジーノ(Jino)」を販売。ネット通販中心に展開しています。
本業であるアミノ酸の研究を通じ、美容成分としてのアミノ酸を独自開発。世界各国の化粧品メーカーに原料として提供してきました。その知見をもとに、オリジナルコスメを開発。スキンケアの他、メイクアップ、ヘアケア、UVケア、ボディケアと幅広いカテゴリーで商品展開を行っています。
「ジーノ(Jino)」の特徴は肌の中で水分を貯える「天然うるおい成分(NMF)」の主成分であるアミノ酸に注目。このアミノ酸を独自の「バイオ・ファイン技術」で肌に直接補うことで、エイジングケアをサポートするというコスメです。
以下、味の素が開発した独自成分です。
- アミノ酸系洗浄剤「アミソフト(R)/グルタミン酸由来」「アミライト(R)/グリシン由来」
- アミノ酸系バリア(セラミド類似)成分「エルデュウ(R)」
- リバイタクトTM S-CYS-50(整肌成分:アセチルシステインエチルピルビルナトリウム液)
- 身代わりアミノ(R)(整肌成分:リジン、アルギニン、ヒスチジン)
- アミホープ®LL(滑沢性の高い板状粉体)
- アミホープ®LLの機能を自然由来球状粒子に付与したマイクロプラスチックビーズ代替品(2022年上市予定)
なかでもマイクロプラスチックビーズの海洋汚染は世界的に問題になっているテーマ。生体分解性のある新素材の開発で、クリーンビューティやサスティナブルコスメの企画・開発に弾みをつけるニュースとなっています。
クリーンビューティやサスティナブルコスメについてもっと詳しくは以下のページを参考に。
化粧品開発のキーワードは“エシカル消費(SDGs)” 人・社会・地域・環境にやさしいコスメをOEMで叶える【市場トレンドリサーチ(2)】
美容成分としてのアミノ酸を独自開発、グリコのオリジナルコスメ「gg(ジージー)」
1922年創業の江崎グリコは、キャラメルなどのお菓子製造で有名な企業。社名の由来になっているグリコーゲンをキャラメルに入れて発売したことから。オリジナルコスメブランド「gg(ジージー)」は、グリコと化粧品に含まれるうるおい成分“グリコーゲン”から名づけられています。
「gg(ジージー)」に配合されている独自成分「EAPグリコーゲン(R)」は、高純度・統一形状で名のサイズのグリコーゲン。植物由来原料から酵素を使って合成されたものです。人の肌にはヒアルロン酸と同程度のグリコーゲンが存在しており、加齢とともに減少することに着目。
「EAPグリコーゲン(R)」は肌のうるおいをアップさせるとともに、紫外線ダメージから守る働きもあります。
1986年に設立したグリコ健康科学研究所ではヘルスサイエンス研究に携わり、世界約40ヵ国で化粧品原料として使われているα-アルブチンをはじめ、さまざまなスキンケア成分を、独自研究により開発してきました。その実績をもとに開発したのが「EAPグリコーゲン(R)」です。
ロート製薬「オバジ」「肌ラボ」「50の恵」など、製薬会社の知見を活かしたオリジナルコスメづくり
ロート製薬は1899年創業、胃腸薬や目薬の製造販売を原点とする企業です。メンソレータムやパンシロンなど誰もが使ったことがあるメジャーな医薬品を取り扱っています。
化粧品業界に参入したのは2001年で、高濃度ビタミンC配合の機能性化粧品「Obagi(オバジ)」を発売。ロサンゼルスのスキンケア研究者、ゼイン・オバジ氏との共同開発で肌本来の力を引き出し、肌内部の問題と向き合う攻めるケアとして「SHR理論」をベースにしたお手入れになっています。
その後、乾燥性敏感肌向けの「プロメディアル」、ヒアルロン酸のうるおいを抱え込む性質を活かした「肌ラボ」、男性用化粧品「OXY(オキシー)」、50代の肌向け化粧品「50の恵」、エイジングケアの先端研究を応用した「エピステーム」など、さまざまなヒット商品が誕生しています。
例えば「肌ラボ」は長く目の研究を続けてきたロート製薬ならではの視点。保湿力にすぐれているものの、重さやベタつきのあるヒアルロン酸を肌なじみのよい、使い勝手のよい成分にする研究を続けてきました。
世界で初めて乳酸発酵のヒアルロン酸やナノ化ヒアルロン酸、保水力の高いスーパーヒアルロン酸などを組み合わせることで価格を抑えながら確かなうるおいを感じらるコスメに仕上げています。
大正製薬「AdryS(アドライズ)」と、子会社となったドクタープログラム「トリニティライン」
大正製薬は1912年に創業。咳止め薬「パブロン」や酔い止め薬「センパイア」や目薬「アイリス」など、さまざまな医薬品を販売してきました。
日本で初めての発毛剤「リアップ」を発売したのは1999年。2019年に初めてのオリジナルコスメブランド「AdryS(アドライズ)」を立ち上げ、インナードライ肌向けのスキンケアを展開しています。
「AdryS(アドライズ)」は製薬会社の知見を活かし、ヘパリン類似物質・プラセンタエキスのW薬用成分を配合。肌の内側から保湿し、バリア機能をサポートします。
また、2001年に設立されたドクタープログラム株式会社は、2017年に大正製薬の100%子会社に移行。オリジナルコスメ「トリニティーライン」を発売しています。
いずれも製薬会社が持つ、技術や研究成果を駆使し、安全性が高く、機能性にすぐれたスキンケアを開発。特許取得技術や独自成分で差別化を図っています。
酒造の醗酵技術を活かして開発された勇心酒造「ライスパワー」
1854年創業と江戸時代から続く造り酒屋である香川県の勇心酒造。日本酒造りを通して培った醸造発酵技術が持つ新しい可能性に注目し、最先端の科学を融合させて生み出したのが「日本型バイオ」という技術です。
お米にこの「日本型バイオ」を組み合わせることで、肌が持つ健康であろうとする力を引き出す“ライスパワー(R)エキス”を開発。お米と微生物の組み合わせにより、効果が確認されたものにNo.を付け、化粧品や健康食品、ボディケア商品などに応用しています。
2021年6月には医療機関向けブランド「バリアケア」から、ライスパワー(R)No.7(乾燥やカサつきをやわらげる)を使用した全身用保湿剤「バリアケア バスミルク」が新発売されています。
中でも勇心酒造の代名詞となった「ライスパワー(R)No.11」は、アトピー性皮膚炎による乾燥肌に悩む人達の役に立ちたいとして開発されたもの。肌の保水に大切なセラミドを増やす働きがあることがわかり、医薬部外品の新規有効成分として認可されました。
現在では36種類のライスパワー(R)エキスが開発され、科学的に効果が認められて商品として実用化されているものは11種類となっています。
真珠をベースとした化粧品・医薬品などの製造を手掛ける御木本製薬のオリジナルコスメ
御木本製薬(ミキモトコスメティクス)は、宝飾品の製造・販売と手掛ける株式会社ミキモトの関連会社。太平洋戦争中の奢侈禁止令により宝飾品が作れなくなった時、創業者である御木本幸吉が立ち上げた会社です。
真珠研究から生まれた成分、肌に有用な「パールコンキオリン(R)」はNMFによく似た成分で、十数種類のアミノ酸を含み、肌みずからうるおう力を引き出します。
また、アコヤ貝が持つ免疫力の中枢といえる器官から「パールコラーゲン(R)」の抽出に成功。肌の保湿力を持続させるうるおいベール効果に優れています。
肌のバリア機能を引き出す「ピュアパールミネラル(R)」とともに、ミキモトならではの独自成分となっています。
2020年4月にミキモトコスメティクスより発売された「リンクル&ホワイト スキンパーフェクションジュエル」は、オールインワンジェル(医薬部外品)で日本初のシワ改善・美白のダブル効果が認められた製品。通信販売限定で発売されました。
この他、独自のナノ化技術「超高圧乳化技術」や超高密度フィルターを通した「超純水」を使用するなど、数々のスキンケア、メイクアップ、ヘアケア、ボディケア、ヘルスフーズを展開中です。
さらにこれらの知見や技術をもとに化粧品OEM事業も手掛けています。
この他にもヤクルト(乳酸菌成分を応用)や山田養蜂場(はちみつ成分を応用)、サントリー・アサヒビール(酵母成分を応用)、ニチレイ(洋ラン栽培・研究を応用)の異業種参入の他、イオンやセブン&アイのPB化粧品、ヤマダ電機(美容家電販促の一環)、ニトリホールディングスなど様々な企業が次々とコスメ業界へ参入しています。
異業種からコスメビジネスに参入し、成功するためのポイント
富士フィルムや味の素、グリコなどはもともとサイエンス分野の研究技術を行ってきた企業。独自の成分への知見が深く、化粧品への応用がスムーズでした。
製薬会社であるロート製薬、大正製薬は皮膚に関する研究や医薬品レベルの調査、研究開発が可能な環境が整っています。独自性のある成分開発や機能性を発揮できる技術力を自社で持っているというのが強みです。
しかし、こういったバックボーンのない場合、異業種から化粧品事業への新規参入は難しいのでしょうか?
最近の化粧品業界のトレンドを見ていると、必ずしもチャンスがないとはいえないことがわかります。というのも、化粧品の販売チャネルが変化し、インターネットやSNSを活用したコミュニケーションでヒット商品が次々と生まれているからです。
経済産業省が2021年4月に策定した「化粧品産業ビジョン」によれば、化粧品OEMメーカーを活用した化粧品開発・製造が年々拡大。ネットショッピングで化粧品を購入することに抵抗がなくなっている消費行動と相まって、小規模な事業者でもビジネスチャンスを獲得することが可能と推察されています。
化粧品ビジネスにまったく経験のない方でも、消費者の嗜好やライフスタイルに合ったオリジナルコスメを開発できれば、ヒット商品を世に送り出せる時代になっているといえるでしょう。
・第1回:伸び続けるメンズコスメマーケットを調査
・第2回:コスメ市場のエシカル消費やSDGsについて
・第3回:異業種から化粧品業界へ新規参入
・第4回:ヒト幹細胞コスメ企画・開発のヒント
・第5回:女性特有の悩みをテクノロジーで解決するフェムテック
・第6回:パーソナライズコスメの徹底研究
・第7回:化粧品D2Cの成功事例や各メーカーのDXへの取組みを紹介
・第8回:越境ECの現状と成功させるカギは?
異業種から化粧品業界へ新規参入を考えているなら化粧品OEMメーカーを活用しよう
知名度やブランド力がある化粧品だけではなく、エシカル消費をテーマとしたサスティナブルコスメという新しい潮流が始まっています。これまで化粧品業界では見向きもされなかったアップサイクルというテーマで、新しいコスメブランドを立ち上げるというチャンスも。
初めて化粧品を企画・開発する場合に大きなハードルとなる「化粧品製造業許可」「化粧品製造販売業許可」のライセンスを取得することなく、新規ビジネスを始めるなら化粧品OEMメーカーを頼ってみては?
化粧品業界の最新情報にも精通し、オーガニックやヴィーガン、ハラール認証取得も可能なOEMメーカーも存在します。また、廃棄されてきた素材を使用して化粧品原料としてよみがえらせることが得意なメーカーも。
「OEMプロ」なら条件にぴったりの化粧品OEMメーカーを無料でご紹介可能です。ぜひお気軽にお問合せください。
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