【化粧品OEMに欠かせない基礎知識5】化粧品の使い心地(テクスチャー)を良くする「増粘剤・ポリマー」について解説
肌に化粧品をのせた時に心地よく感じるテクスチャーや、液だれなどを防ぐために欠かせないのが「増粘剤」。最近では技術が進歩して、オイルやクリームなのにジェル状という商品もよく見かけるようになりました。
また、ヘアケア製品などによく使われ、指通りをよくする「ポリマー」もよく使われる成分。スキンケアやメイクアップ用品で被膜をつくり滑らかさを持たせることも可能です。
どんなに効果がある化粧品であっても、使い心地が良くなければ続けて使う気持ちにはなりません。今回は増粘剤としてとろみや粘性を出し、使いやすくする成分やポリマーについて解説していきます。
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化粧品に増粘剤が必要な理由
化粧品やヘアケア製品になくてはならない増粘剤。例えば、シャンプーやリンスを手に取った時にとろみがないと、無駄にしてしまう分が多くなってしまいます。化粧水にもとろみがあれば、コットンを使わずに肌へ塗布しやすくなりますよね。
このように増粘剤は、適度なとろみをつけることで無駄なく使いやすくする効果が期待できます。そしてもう一つは見た目の印象や使用感にも大きく影響するのがポイント。
オールインワンジェルなど、ぷるんとしたジェリー状にすることで高級感を演出することができます。さらに乳化した乳液やクリームなどが分離しにくくなるのもメリットです。
化粧品によく使われる増粘剤の種類について
化粧品に使われる増粘剤は大きくわけて3つあります。一つは水溶性増粘剤、二つ目は油溶性増粘剤、三つ目は高分子乳化剤です。それぞれを詳しく見ていきましょう
1.制菌効果も期待できる水溶性増粘剤
成分 | 特徴 |
---|---|
カルボマー(カルボキシビニルポリマー) | ・カルボキシル基を持った水溶性高分子で、特に増粘効果に優れ、安定性がある ・配合量でなめらかでぷるぷるのテクスチャーからゼリー状まで調整可能 ・塩分でとろみがなくなる性質を利用し、肌の上ですーっと溶け込むような使い心地を生み出す |
キサンタンガム | ・とうもろこしや大豆などをキサントモナス菌(土に生息する)で発酵させてつくった多糖類 ・糸を引くようなスーッとしたとろみが特徴 ・温度変化があっても安定した粘度をキープ、乳化安定性にすぐれ、他の増粘剤と組み合わせて使用する場合も ・肌表面にほぼ膜をつくり、保湿性を高める ・食品のとろみ付けに増粘多糖類として使用される |
シロキクラゲ多糖体 | ・きのこの一種であるシロキクラゲから抽出される多糖類 ・ヒアルロン酸と同等の保湿作用があり、乳化安定性もよい ・なめらかでしなやかなテクスチャーにする ・ナチュラル系コスメによく使用される |
2.油にとろみをつけてゲル化できる油溶性増粘剤
油にとろみをつける油溶性増粘剤はあまりバリエーションがなく、主に使われているのはパルミチン酸デキストリンです。多糖類の一種であるデキストリンにパルミチン酸がエステル結合した成分で糖脂肪酸エステルと呼ばれることもあります。
2%以上でとろみがつき、5%からゲル化、10%以上で固形物へと固さ調節が可能。乳化安定に優れ、特に油中水型(W/O)クリームによく使われています。
この他「ベヘン酸グリセリル」「エイコサンニ酸グリセリル」などがあります。それぞれグリセリンとのエステル化合物。ナチュラル系のコスメによく使われています。
3.界面活性剤の配合量を低減できる高分子乳化剤
ポリマーと呼ばれる高分子(構造が大きい成分)を使った乳化剤は、界面活性剤(水にとろみをつけながら油も包み込む性質)としても働く画期的な増粘剤です。界面活性剤を減らして乳液やクリームを作りたい場合にも便利。
また、独特のテクスチャーで注目を集める“ジェルクリーム”を作ることもできます。
成分 | 特徴 |
---|---|
(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー | ・水溶性増粘剤のカルボマーとよく似た特性 ・水中油型(O/W)の高分子乳化剤でオールインワンジェルタイプの化粧品によく使われる ・耐水性が高いのでウォータープルーフタイプのメイクアップや日焼け止めにも ・肌を密閉することがないので毛穴を詰まらせない |
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー | ・合成ポリマー ・べたつきのないやわらかでなめらかな感触のクリームをつくることができる ・他のオイル(スクワラン)や乳化剤(ポリソルベート60など)と組み合わせて使うことが多い |
(PEG-240/デシルテトラデセス‐20/HDI)コポリマー | ・形状記憶性、復元力に優れた合成ポリマー ・耐塩性、耐酸性にすぐれている ・ハリ感のあるこれまでにないテクスチャーのジェルクリームがつくれる |
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー | ・シリコーンゲルもしくはシリコーンエラストーマ―と呼ばれるシリコーンオイルや油溶性分をゲル化できるポリマー ・肌のすべりが良く、さらさらに整えるのでファンデーションや日焼け止めなどにもよく使われる ・べたつきのない使用感で油中水型(W/O)クリームなどによく使われる |
化粧品やヘアケア商品の使い心地を各段にアップするポリマー
増粘剤の中にもとろみをつけたり、ゲル化する合成ポリマーを紹介しましたが、皮膚や髪に被膜をつくり、使用感をよくする以下のようなポリマーがいろいろあります。
- ポリクオタニウム-7:シャンプーやボディソープによく使われる合成ポリマー。肌を滑らかに洗い上げ、髪にハリやコシを与える効果がある、泡立ちも改善
- ポリクオタニウム-10(カチオンカセルロース):シャンプーによく使われる植物性ポリマー。ノンシリコンシャンプーでシリコンの代わりによく使われ、指通りをよくする
- グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:グア―の種子(クラスタマメ)から得られる多糖類カチオン化したもの。髪をやわらかく整え、きしみを予防する
この他、はがすタイプのパックなどによく使われるポリビニルアルコール、肌に被膜をつくり高い保湿効果を発揮するブルランなどがあります。
また、使い心地とは関係ないですが、油性成分を使わずに白濁感を演出するポリマーもあります。(スチレン/アクリレーツ)コポリマーや(スチレン/VP)コポリマーがそうです。
メイクアップ用品には粘土系や粉体系の増粘剤がよく使用される
粘度鉱物であるモンモリロナイトの主成分・ベントナイトは、水を加えると泥状に膨らむ性質でのびを良くしたり、なめらかさ、しっとり感を付与できます。皮脂吸着作用もあるのでクレイパックの他、洗顔石けん、アイライナー、マスカラなどにも。
粘土鉱物の一種であるヘクトライトにオイルの構造を付与した誘導体、ジステアルジモニウムヘクトライトは油の中でゲル化するため、油中水型(W/O)クリームなどに使用。ケイ酸(A1/Mg)は合成粘土で、透明感があり、品質が安定しているのがメリットです。
「粉体系増粘剤」はシリル化シリカ、ジメチルシリル化シリカ、粉状のシリカ(無水ケイ酸)などのこと。口紅やファンデーションなど油系化粧品の固さ調整に使います。皮脂を吸着する働きもあるので、化粧もちがよくなります。
「合成ポリマー=肌に悪い」ではない!用途に応じて賢く使えば使い心地のよい化粧品に
パラベンと並んで、肌に悪いものとされている合成ポリマー。しかし、高分子(大きな構造)のため、肌に浸透することはありません。被膜をつくり、はがしやすくするパック剤に使われているもの(ポリビニルアルコールなど)を除き、水で洗い流せばなくなる水溶性ポリマーが多いので、安心して使用できます。
乳化作用を発揮するポリマーもあるので、界面活性剤を減らすことができるというメリットも!また、シリコンを使わずに髪の指通りを良くしてくれたり、肌への感触などを心地よいものにしてくれる成分も多いので、むしろ上手に使用したいものですね。
増粘剤やポリマーを上手に活用し、肌にやさしく使い心地のよい化粧品を開発したい場合は、ぜひ、プロの手を借りながらいろいろなアプローチを検討してみましょう。
化粧品OEMについて詳しく知りたい方、ロットや費用の相場感を知りたい方はこちらをご覧ください。
>>化粧品OEMとは?かかる費用や、OEMメーカーの選び方を徹底解説
▼参考文献
「美肌のために、知っておきたい 化粧品成分表示のかんたん読み方手帳」(発行:株式会社永岡書店)
「美肌成分事典」(発行:株式会社主婦の友インフォス)
1.成分・種類・アイテム別の処方割合は?
2.お肌の悩みに応える機能性成分・美容成分<美白・アンチエージング・ニキビケア>
3.お肌の悩みに応える機能性成分・美容成分をズバリ解説<毛穴・くすみ・目の下のクマ・肌質別お手入れ>
4.化粧品の品質を守る防腐剤・酸化防止剤について
5.化粧品の使い心地(テクスチャー)を良くする増粘剤・ポリマーについて
6. 化粧品の使用目的や特徴、成分の安定性に欠かせないpH調整剤
7.石けんなどでよく使われているキレート(金属封鎖)剤
8.化粧品に香りをつける香料(着香剤)について
9.化粧品に色をつける着色料について
10.日焼け止めに使う紫外線吸収剤・紫外線散乱剤について
11.化粧品のキー成分!代表的な「保湿成分」について
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