オーガニックやハラール認証の化粧品開発を得意とするOEMメーカーに取材!予算や商品設計、相談のポイントは?
また、最近特にOEMの需要が高まっている「ハラール認証」化粧品を自社オリジナルブランドとして展開されている経験を活かし、ムスリム向け化粧品の企画・開発ポイントについてもアドバイスもいただきました。
「ご当地素材を使った自然派化粧品を開発してみたい」「ハラール認証を受けた化粧品を自社で開発したい」という方必見です。
1915年(大正4年)創業の老舗、石田香粧株式会社
石田香粧株式会社の原点は「安価で良質な商品を売る店」として創業した“石田佐一商店”。小規模な手作り家内工業のような小さな工場でしたが、環境や自然にも優しい商品をていねいに作る会社として評判を得てきました。その後、1946年(昭和21年)にオリーブオイルとレモンオイルを配合した画期的な保湿乳液「ラモナー オリーブレモン」を発売。さっぱりとした使い心地と、フレッシュな柑橘系の香りが大勢の女性たちの心をとらえ、おしゃれなボトルデザインと相まって大ヒット商品になりました。
その後、サロン向けに和漢生薬や西洋ハーブなどの植物成分が持つ働きに注目した製品を次々開発。インド式エステブームの火付け役になったアーユルヴェーダで使用するマッサージオイルや、ハーブエキス入りの化粧品としてロングセラーを続けている「ロータス化粧品」は、石田香粧を代表するシリーズになっています。
また、海外からの観光客が増えはじめていることに着目し、インバウンド向け「六花草化粧品」を2014年(平成26年)に発売開始。
芍薬、牡丹、百合エキスなど、日本古来の伝統的な和漢生薬素材と注目保湿成分などを配合した高品質な化粧品は大好評を博しています。そして2016年(平成28年)には、ハラール認証化粧品メラティシリーズを発売。
メラティ化粧品は、2021年6月末に発行予定の「東京ムスリムトラベラーズガイド(東京観光財団発行)」でも紹介されています。
石田香粧ではこれまで培ってきた植物エキス配合の化粧品開発の技術や知識を活かし、化粧品OEMにも力を入れています。また、自社でハラール認証取得の化粧品開発も成功させたことから、今後はムスリム向けの化粧品OEMについてもスムーズに相談可能。
特にご当地素材を使った新しい化粧品を開発したいと考えている自治体や事業者の方、ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。
化粧品OEMを成功させるコツ!予算やロット数の考え方・相談のポイントは?
化粧品OEMについてよく相談を受けるのは、できるだけ小ロットでリスクを少なく始めたいということ。石田香粧は小ロットでの開発相談に乗っていただける化粧品OEMメーカーのひとつではありますが、最小ロット数やどのぐらいの予算を見込んでおけばいいでしょうか。
『実際のところ、最小ロットで開発した場合と、経済ロットで開発した場合、ほとんど費用が変わらないことが多いです』と橡川(とちかわ)さん。数万円の違いならば、最小ロットにこだわる必要はないのではないといいます。
『過去に手掛けたOEM化粧品で予算100万円、3製品をつくったことがあります。こちらは売上が良く成功事例のひとつです。最低でも40~50万円ぐらいの予算感をもって、相談するのがベストなのではないかと思います』とのことでした。
化粧品OEMで失敗しやすい事例にはどんな特徴がある?
『よくあるパターンが化粧品の“狙い”がよく絞り込めていないこと。費用やロット数は決まっている、こんな原料を使ってみたい、ということははっきりしているのに、誰のためにどんな目的でどのように使ってもらいたいかがぼんやりしていると失敗しやすいです』
あんな機能もこんな機能も欲しい、若い世代からシニア層までまんべなく使って欲しいなど、ターゲットや目的を絞り込めていないと、コミュニケーション(広告)もうまくいきません。また販売チャンネル選びも失敗してしまうことでしょう。
- 化粧品に持たせる機能を欲張りすぎると狙いがぼやける
- ターゲット層を絞り込めないとメッセージが誰に対しても響かない
- ターゲットや商品コンセプトが明確でないと売り方が難しくなる
人気の成分や効果の高い成分、あれもこれも入れればいいということではなく、相性も考えなければなりません。また、オーガニックや自然派にこだわるあまりに防腐剤は入れたくない、乳化剤は使わないでというリクエストもよくありますが、実際に化粧品を使用する方に不便や我慢を強いるような商品になってしまっては本末転倒といえるでしょう。
化粧品OEMメーカーと相談する場合は、まずどんなターゲットに対し、どんな効果のある化粧品をつくりたいのか。どんな場面でどう使ってもらうのか。オリジナルコスメの狙いや開発目的をしっかりイメージすることです。
≫化粧品を安心して使用できるように「品質を守る成分=防腐剤、酸化防止剤」についてもっと詳しく
化粧品OEMメーカーに相談する場合、最低限決めておくべきこと
『先ほどお伝えした通り、化粧品開発の狙いや目的をしっかり決めておくこと。そしていくらで販売し、いくらの収益を見込んでいるかを考えておいて欲しいと思います』と橡川(とちかわ)さん。
販売価格や収益の見込みを伝えることで、予算内で開発するための手段を考えやすくなります。使いたい原料ではなく、どのような効果をもたらしたいか、ということが明確であれば、プロ目線で最適な原料や処方を考え、提案することも可能。
ターゲットに合わせた使用感や使い勝手のよいボトル、販売チャンネルまでトータルに組み立てて、売りやすい・売れる化粧品に仕上げてくれるはず。ロット数や費用につい目が行きがちですが、本当に大切なのはビジネスとして成立するかどうかという目線ですね。
化粧品OEMで決めておくべきポイント
- ■使いたい原料よりもどんな効果、効能を狙いたいかを明確に
- ■販売価格と粗利率を決めておくこと
- ■ターゲットをある程度絞り込むこと
- ■どんなアイテムでサイズ(容量)をどのぐらいに設定するか
- ■こだわりが複数ある場合はプライオリティ(優先順位)を伝える
≫化粧品OEMを企画したのに売れない理由は?オリジナルコスメを成功させるコツ
化粧品OEMで最も多い悩みは”香り”
事業主・オーナーさんが最後まで悩むのは実は香り。というのも香りは非常に個人的な好みに左右されてしまうものだからです。
ある人にとっては良い香りでも、別の方には嫌いな香りであったりもします。どなたでも不快に感じない香りに仕上げるというのが非常に大変だそう。
最近のナチュラル系コスメの場合、香料や着色料無添加にこだわる傾向にはありますが、原料独自の匂いがあり、ある程度はマスキング(気にならないように香りづけする)しないといけない場合も。
天然精油を使った自然でやさしい香りづけなども相談可能ということなので、ぜひ検討してみましょう。
≫化粧品に香りをつける「香料(着香剤)」についてもっと詳しく
エシカル消費でも注目が集まるオーガニックやナチュラル系コスメ、石田香粧にお任せする強みは?
エシカル消費とは、直訳する倫理的消費という意味。よりよい社会を目指し、人や社会、環境に配慮した消費行動(=倫理的消費)を目指そうという動きのことをいいます(参照元:消費者庁ホームページより)。国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる17の目標のうち、ゴール12に該当する取り組みです。
化粧品を選ぶユーザーも多様化しており、有名メーカーやブランド力を重視するのではなく、自分が欲しいもの使いたいものを選ぶ傾向が強くなっています。そんな中でオーガニックやナチュラル系コスメは環境への配慮だけではなく、自分たちの未来への投資として確かなメッセージを発信しやすい商品です。
和漢生薬や西洋ハーブなど自然素材の活用が得意な石田香粧
100年以上に渡り、一貫して自然派化粧品を製造してきた石田香粧。普段からナチュラル系コスメの開発を得意とするメーカーですので、原料の調達はもちろん、オリジナル植物エキスの抽出も任せてほしいといいます。
『最近多い相談は地域活性化を目的としたご当地素材の開発。特産品やその地域ならではの農作物、植物から新しくエキスを抽出して化粧品に活かしたいという相談が増えています。私どもが最も得意とする分野でもあります』と橡川(とちかわ)さん。
これまでの経験上で、ナチュラル系コスメで最も気を遣うのが防腐剤をどうするかというところ。
『特にオーガニックにこだわる方はすべて自然由来のものを使いたいという要望があるかと思います。植物性の防腐剤はありますし、使用することが出来ますが、成分との相性があるので組合せが難しいところです』
たくさんの実績を積み重ねてきた知識や技術があっても、処方によってはうまくいかずに苦労することもしばしば。経験を踏まえたアドバイスやサポートができるのが石田香粧ならではの強みの一つといえますね。
サステナブルな視点での容器開発や提案も可能
最近大手メーカーも開発に乗り出している脱プラ容器。ライバル企業同士が手を結び、積極的に容器を回収して、リサイクルに取り組むなど、日本でも大きな潮流となっています。
『オーガニックやナチュラル系化粧品を開発する場合、やはり容器やパッケージ(包装)へのこだわりは無視することはできない大事な要素です。自然に還るプラスチック容器やリサイクルしやすいガラス容器、簡便なパッケージ、リフィル(詰め替え)化など、さまざまなリクエストにお応えしています』
そんな石田香粧であっても現在の技術では難しかったものが「スティックタイプの口紅を押し上げる部品を脱プラ化する」ことだったそう。コンパクトタイプの化粧品も、脱プラ化するのが難しかったものの一つだそうですが、こちらは紙製で製造した実績があるとか。
どこまでこだわるかによりますが、今後技術が進むことで「使い勝手のよいサステナブルな化粧品」開発が主流となっていくことは間違いなさそうですね。
インバウンド向け、ムスリム向けの化粧品開発事情、今後の見通しはどうでしょうか?
コロナ禍で旅行・観光業は苦戦が続いています。海外との自由な行き来はまだ当分制限されそうですが、在日のムスリムをターゲットにした商品開発は需要が高いと見込まれています。
『当社で展開しているムスリム向けの化粧品“メラティ”は、ライフスタイルやニーズにフォーカスして3アイテムに絞り込んで展開しています』と橡川(とちかわ)さん。
ムスリムの方は1日5回の礼拝を行っており、女性の方はその都度メイクアップを落とさなければならないそうです。このため、肌への負担を極力減らしたクレンジング剤、簡単に保湿ケアができるオールインワンタイプのジェル、そしてUVケアの3点に絞り、製品化したとのこと。
ムスリムの女性はヒジャーブ(スカーフ)を付けて外出するため、露出する部分への日焼け止めは必須アイテムなのだそうです。
ハラール認証化粧品OEM開発は難しいものではない
石田香粧ではすでにハラール認証化粧品の製造を行っており、専用の製造ラインを確立しています。原料の選び方として、豚由来のもの、アルコールの使用をしっかり排除し、専用の製造ライン(他の原料や製品との混入を避ける)があれば、OEMでの製造は可能。
オリジナル化粧品で展開しているアイテム以外にも、化粧水やオールインワンローション、美容液などの開発もOKとのこと。すでにいくつかハラール化粧品OEMを手掛けている実績があるので、ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。
ハラール認証化粧品を海外輸出したり、ホテルアメニティとして展開は可能?
すでに海外輸出向けハラール化粧品のOEMにチャレンジしたことがあるという橡川(とちかわ)さん。難しいのはハラール認証化粧品でメイドインジャパンはアピールポイントになりにくいといいます。
『ヨーロッパのマーケットにおいて“メイドインジャパンのハラール化粧品”というブランド力はあまり強みにはなりません。品質の良さはあっても、中国製品と比べたら価格では太刀打ちできないのが現状。ハラール認証商品として勝負する意味があるのかというと、ちょっと厳しいといわざるを得ないでしょう』
ただし、東アジアに対しての輸出であれば、ビジネスチャンスはあるのではという見解でした。
それでは、インバウンド需要が回復した場合、ホテルアメニティとしてハラール認証化粧品の商機はいかがでしょうか?
『実はホテルアメニティは原価に大変シビアな業界として知られています。その中で収益がしっかり確保できる商品開発を行うのは非常に難しいというのが現状です。大手化粧品メーカーも次々撤退しているのが実情なので、新規事業として参入するのは正直おすすめはできないですね』ということでした。
ハラール認証化粧品、国内でメイクアップ製品製造は現在できない!?
スキンケア商品、ヘアケア商品に関しては日本国内でも生産できる製造ラインを設けているOEMメーカーは、石田香粧を含めていくつか存在しているそうです。しかし、メイクアップ製品に関しては現在製造できるメーカーはないかもしれないとのこと。
イスラム教徒が多い国の女性たちは、鮮やかなな発色のメイクを好み、おしゃれを楽しんでいる方が多い印象です。ムスリムの多い国では、普通に製造されているメイク用品ですが、日本ではまだハラール対応が可能な原料の調達から製造ライン確保ができていないようです。
在日のムスリムやインバウンド需要が回復した際、日本でメイクアップ製品を購入したいというニーズが高まってくれば、不可能ではないかもしれません。しばらくは輸入に頼るということになりそうですね。
オーガニック・ナチュラル系コスメやハラール認証スキンケア開発を考えているなら、マーケットの事情にも詳しい石田香粧にぜひ相談してみてはいかがでしょうか。
■取材協力
石田香粧株式会社
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