【化粧品OEMに欠かせない基礎知識4】化粧品を安心して使用できるように「品質を守る成分=防腐剤、酸化防止剤」について解説

【化粧品OEMに欠かせない基礎知識4】化粧品を安心して使用できるように「品質を守る成分=防腐剤、酸化防止剤」について解説

化粧品は肌に直接塗布して使うもの。開封前と後で品質が変わってしまうのでは安心して使用できません。

特に水性の成分は傷みが早く、腐ったりカビが生えてしまうことも。油性の成分も空気と反応して酸化しやすいので注意が必要になります。

一時、防腐剤である「パラベン」が肌に良くないということで敬遠され、「パラベンフリー(不使用)」の化粧品が“安心・安全”というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?しかし、パラベンは不使用でもそれ以外の防腐剤は必ず使われているはずで、必ずしも安全とは言い切れない側面もあります。

今回は防腐剤や酸化防止剤といった化粧品の品質維持に関わる重要な成分について解説していきます。

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化粧品に防腐剤や酸化防止剤が必要な理由

使用期限が3年以上と決められている化粧品

化粧品に表示されている「使用期限」とは、未開封の状態で保管された場合に品質が保持される期限のこと。

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」上では、製造又は輸入後適切な保存条件のもとで3年を超えて性状及び品質が安定な化粧品については使用期限を表示する必要はないとされています。しかし、流通管理の都合で外箱などに記載されるのが通常です(厚生労働省「薬事法」より)。

未開封であれば、比較的品質が保たれていますが、一度開封してしまった場合、空気に触れる、手で触れることで雑菌が繁殖すやすい環境に。このため、ある程度の期間、品質を安定して保持するために防腐剤・酸化防止剤が必要なのです。

化粧品によく使われる防腐剤の種類について

化粧品に不可欠な防腐剤について

化粧品に使われる防腐剤は成分の種類や配合量により、肌へ刺激となる恐れがあるものも。パラベンなど「ポジティブリスト」により、配合量が規制されているものもあります。

≫ポジティブリストを含め、化粧品の成分・配合量・効能・表示のルールについて詳しくはこちらも参考に

1.ポジティブリストに記載されている代表的な防腐剤

成分 特徴
パラベン(パラオキシ安息香酸エステル) ・主に使用されているのはメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなど
・少量で広範囲の微生物に有効
・80年以上前から使われており、人体に対する毒性は低いとされている
フェノキシエタノール ・抗菌性はパラベンより強くないので配合量多くする必要がある
・パラベンが効きにくい大腸菌、サルモネラ菌などグラム陰性菌に強い
・ヨーロッパなどでは1950年代に医薬品の防腐剤として使用された歴史も
・「パラベンフリー」をうたう化粧品に多く配合されている
安息香酸、安息香酸Na(安息香酸塩) ・天然樹脂である安息香(ベンゾイン)に含まれる成分で、水に溶けやすくしたものが安息香酸Na
・微生物の増殖を抑制
・製品が酸性を示した場合のみ抗菌作用を発揮しないので、他の防腐剤と併用されることが多い
・オーガニック化粧品への配合が認められている
ヒノキチオール ・天然の台湾ヒノキや青森ヒバ精油に多く含まれている成分、そのまま配合すると光分解しやすいので処方技術が必要
・カビや黄色ブドウ球菌などに高い抗菌効果を発揮
・敏感肌向けの化粧品にもよく使われる
サリチル酸、サリチル酸Na ・安息香酸の誘導体であり、イチゴ、トマト、オレンジ、パイナップル、ブドウなどに比較的多く含まれている成分
・頭痛薬のアスピリンはサリチル酸をアセチル化したもの
・微生物に対して抗菌性を示す
・角質軟化作用(ピーリング)もある
・オーガニック化粧品にも使用される
デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム ・製品が酸性を示した場合のみ抗菌作用を発揮し、細菌、酵母、カビに効果を発揮(殺菌作用はなし)
・オーガニック化粧品にも使用される
ソルビン酸、ソルビン酸K ・ソルビン酸Kは最近やカビの発生や増殖を抑えるため、食品添加物としてソーセージや練り物などによく使用されている
・製品が酸性を示した場合に抗菌力が高くなる
・化粧品での使用は減少傾向
クロルフェネシン ・化学合成でつくられる防腐剤で、少量で効果を発揮
・グラム陽性菌および酵母に対し抗菌・防腐作用がある
・粘膜周辺に使用されるものには配合禁止
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル ・他の防腐剤で効果が出にくい、真菌や酵母、カビ類に有効
・安全性が不透明(欧米では長年使用されている)
・エアゾール剤への配合は禁止

2.「防腐剤フリー」表示の化粧品によく使用され、防腐効果が期待できる成分

成分 特徴

エチルヘキシルグリセリン

・グリセリン(保湿剤)の誘導体、エモリエント作用やデオドラント効果もあり
・1%以下の配合量でも防腐効果を発揮
・フェノキシエタノールとの併用で真菌にも抗菌作用を発揮
ベンチレングリコール(1,2-ベンタンジオール) ・多価アルコールの1種で高い抗菌効果を発揮(4%以上の濃度)
・べたつかずにさっぱりとした使い心地で保湿する
・1,2-ヘキサンジオールやカプリリルグリコールとの併用で抗菌作用が高まる
・パラベンやフェノキシエタノール無添加のものによく使用されている
1,2-ヘキサンジオール ・多価アルコールの1種で、ベンチレングリコールよりも高い抗菌効果を発揮(1%以上の濃度)
・さっぱりとした感触の保湿剤
・ベンチレングリコールやカプリリルグリコールとの併用で抗菌作用が高まる
・パラベンやフェノキシエタノール無添加のものによく使用されている
カプリリルグリコール(1,2-オクタンジオール)

 

・多価アルコールの1種で1,2-ヘキサンジオールよりも高い抗菌効果を発揮(1%以上の濃度)
・さっぱりとした使用感の保湿剤
・水に溶けにくく、エモリエント作用がある
・ベンチレングリコールや1,2-ヘキサンジオールとの併用で抗菌作用が高まる
・パラベンやフェノキシエタノール無添加のものによく使用されている
カプリルヒドロキシサム酸(プロパンジオール) ・真菌(カビ/酵母)を強力に抑えるカプリルヒドロキサム酸(天然素材由来)とプロパンジオール(天然素材由来)を混合した成分で抗菌効果が高い
・2~2.5%の濃度で使用される
・成分を水に溶けやすくするキレート剤(金属封鎖作用)として使用される
ベンジルアルコール(ベンゼンメタノール、フェニルメタノール) ・石油原料の合成保存料で殺菌作用がある
・香料としてライラックやジャスミンなどの合成香料の一部として使用される
・肌への刺激やアレルギーの報告もあり
・オーガニック化粧品で使用できる防腐剤

「防腐剤フリー」といいつつも、化学合成された防腐剤を使用しているケースはいろいろあります。オーガニックコスメやナチュラル系のコスメでも化学合成された防腐剤を使用しているケースがあるのがお分かりいただけたと思います。

オーガニックコスメといえども防腐剤とは無縁とはいえない

天然成分にこだわっているメーカーの場合、植物由来の防腐効果が期待できる成分を使用する場合も。例えば、ローズマリーエキス、セージエキス、熊笹エキス、ヒノキチオール、グレープフルーツ種子エキス、レウコノストック、ユーカリエキスなどが代表的なものです。また、天然醸造アルコール(エタノール)などで防腐効果を高める方法もあります。

しかし、「天然=安全」とは限らず、効き目があれば副作用(アレルギーなど)も必ずあります。ある程度の期間、安全性を確かめたデータがあるものを使うのが安心ですね。

どうしても防腐剤を使用したくない場合は、エアレス容器を使う、1回使い切りにするなど別のアプローチを考えるというのも手ですね。

3.酸化防止効果のある成分

酸化防止剤を使用して油脂類の酸化を防ぐ

油脂やロウ類、界面活性剤、香料などは酸素と結びつくと腐りやすくなります(=酸化)。古くなった揚げ油などが変色して臭くなるのと同じです。このため、酸素による劣化を防止する目的で酸化防止成分を配合することがあります。主な成分は以下の通りです。

  • ビタミンE(トコフェロール類):脂溶性ビタミンの1種(アルコールやオイルにはよくとけるが、水には溶けない)。血行促進作用が期待できる
  • ジブチルヒドロキシトルエン(BHT):耐熱性があるため、食用油によく使用されている、BHAと併用すると効果的
  • ブチルヒドロキシアニソール(BHA):食用油によく使用されている、BHTと併用すると効果的
  • 没食子酸プロピル:没食子酸をプロパノールでエステル化して得られる成分。酸化防止効果が高いが、鉄や鉄の化合物に触れると変色する

 

この他にも抗酸化作用が期待できる成分として、アスコルビン酸(ビタミンC)やクロロゲン酸(ポリフェノールの一種でコーヒーに含まれる)、カテキン(ポリフェノールの一種で緑茶の渋み成分)などがあります。

「防腐剤=悪」ではない!配合量やアイテムに応じて安全に使用できる範囲を守ればOK

防腐剤を悪いものと決めつけずに上手に活用

せっかく買った化粧品がすぐに変質したり、腐ってしまうのはユーザーにとってマイナスです。無添加にこだわるあまり、開封後は冷蔵庫保管で1週間で使い切りというのもありますが、忙しい場合は面倒に感じることも。

防腐剤、特にポジティブリストに掲載のある成分は安全に使える範囲をきちんと検証し、配合量や用途を定めています。防腐剤を複数組み合わせることで、配合量を抑えることもできるので、肌にやさしい化粧品を開発したい場合は、ぜひ、プロの手を借りながらいろいろなアプローチを検討してみましょう。

化粧品OEMについて詳しく知りたい方、ロットや費用の相場感を知りたい方はこちらをご覧ください。
>>化粧品OEMとは?かかる費用や、OEMメーカーの選び方を徹底解説

▼参考文献
「美肌のために、知っておきたい 化粧品成分表示のかんたん読み方手帳」(発行:株式会社永岡書店)
「美肌成分事典」(発行:株式会社主婦の友インフォス)

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